早見表(2024年算定要件・薬歴・算定タイミング・レセプト摘要コメント)


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算定要件の概要(2024年度 特定薬剤管理指導料3イ・ロ)原文ベース解説
算定要件
特定薬剤管理指導加算3 5点
調剤を行う医薬品を患者が選択するために必要な説明及び指導を行ったイ又はロに掲げる場合には、特定薬剤管理指導加算3として、患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限り、5点を所定点数に加算する。
イ 特に安全性に関する説明が必要な場合として当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合
ロ 調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合
つかさハイリスクとはまた別に特別な説明が必要な薬剤の指導に対する加算ですね。
イ・ロの詳細な内容については、次項で詳しく説明されます。
実施上の留意事項
(1) 服薬管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、処方された医薬品について、保険薬剤師が患者に重点的な服薬指導が必要と認め、必要な説明及び指導を行ったときに患者1人につき当該医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定する。



同じ患者において、1つの薬剤に対しては最初に処方された一回しか算定できません。
逆に該当の医薬品が新たに追加されるたびに算定できるとも言えますね。
また、例外として、疑義解釈(令和6年6月18日)により、継続している医薬品であっても初回に限り算定可能となりました。(詳細はこちら)
(2) 「イ」については、「10の2」調剤管理料の1の(1)を踏まえ、「当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合」とは、以下のいずれかの場合をいう。
・RMPの策定が義務づけられている医薬品について、当該医薬品を新たに処方された場合に限り、患者又はその家族等に対し、RMPに基づきRMPに係る情報提供資材を活用し、副作用、併用禁忌等の当該医薬品の特性を踏まえ、適正使用や安全性等に関して十分な指導を行った場合
・処方された薬剤について緊急安全性情報、安全性速報が新たに発出された場合等に、安全性に係る情報について提供及び十分な指導を行った場合



RMP提出品目について情報提供資材を用いて必要な指導をすることで算定できる報酬です。
RMP提出品目一覧はこちらから確認できます。(RMP提出品目一覧)
こちらに記載がある場合でも、アジルバのように患者向けRMP資材が無い場合は算定不可です。
他にも、緊急安全性情報と安全性速報が新たに発出されて初めて処方された際に指導をした場合でも算定可能です。
(3) 「ロ」に示す「調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合」とは、以下のいずれかの場合をいう。
・後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合
・医薬品の供給の状況が安定していないため、調剤時に前回調剤された銘柄の必要な数量が確保できず、前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に対して説明を行った場合



「ロ」の中でも2種類あり、選定療養に関するものと、医薬品の供給不安定に関するものです。
選定療養の対象となる医薬品一覧や計算方法はこちらの厚生労働省のページから確認できます。(後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について)
(4) 対象となる医薬品が複数処方されている場合に、処方箋受付1回につきそれぞれ1回に限り算定するものであること。また、複数の項目に該当する場合であっても、重複して算定することができない。
(5) 特定薬剤管理指導加算3を算定する場合は、それぞれの所定の要件を満たせば特定薬剤管理指導1及び特定薬剤管理指導加算2を算定できる。
(6) 薬剤服用歴等には、対象となる医薬品が分かるように記載すること。また、医薬品の供給の状況を踏まえ説明を行った場合には、調剤報酬明細書の摘要欄に調剤に必要な数量が確保できなかった薬剤名を記載すること。



薬歴には対象の医薬品名の記載が必要となります。
特管3ロの供給状況を踏まえた説明を行った場合においては、レセプト摘要欄に該当の薬剤名の記載が必要です。
一方、要件にはありませんが選定療養に関する説明を行った場合においてもレセプト摘要欄に薬剤名の記載が必要との査定を受けたとの報告もありましたので、ご注意を。
補足
共通
- 患者にとっては継続している医薬品であっても、受け付けた保険薬局において重点的な服薬指導が必要と認めた場合には、初回に限り算定可能
特定薬剤管理指導料3 イ
- RMP資材の薬剤服用歴等への添付及び資材の名称等の記載は不要であるが、指導の要点を薬剤服用歴等に記載する必要がある
特定薬剤管理指導料3 ロ(選定療養に関するもの)
- 選定療養の説明において、仕組みの導入される令和6年10月1日より前の時点でも特定薬剤管理指導加算3のロの算定は可能
- その他、選定療養の運用に係るものについては、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈」の項目を参照
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養の詳細については、別記事参照↓


特定薬剤管理指導料3 ロ(供給不足に関するもの)
- レセプト摘要コメントに数量を確保できなかった薬剤名を記載



これらの解釈に関しては今後の疑義解釈等で変わる可能性はあります。
少し特殊な算定できるケース、算定できないケースわかりやすくまとめ
特定薬剤管理指導加算3 イ・ロ共通
疑義解釈(令和6年6月18日)問1により、「当該患者が継続して使用している医薬品ではあるが、当該医薬品に関して、保険薬剤師が重点的な服薬指導が必要と認め、当該加算の算定要件を満たす説明及び指導を行った場合、初回に限り算定できる」との回答がありました。
これはつまり、特定薬剤管理指導料3の大前提となる、「最初に処方された1回に限り算定」という文言の例外として示された形となります。
「患者にとって(薬局にとっても)継続中の医薬品であっても、今までにその医薬品に対してのRMP資材の説明や選定療養の説明により特管3を算定したことがなければ、初回に限り算定が可能」という解釈で良いかと思います。
これは長期収載品の選定療養の説明や緊急安全性情報の説明において、基本的に処方が継続している患者への説明が前提となるため、例外を認めることで算定を可能とする措置であったと考えられます。
これが特定薬剤管理指導料3のイとロ両方に反映されたことにより、大幅に算定機会が増えたと言えます。
例えば、以下のような場合においても算定が可能となりました。
- タリージェ錠5mgを継続中。これまでに一度もRMP資材を用いた指導を行っておらず、今回初めてRMP資材を用いて指導した場合。
- 他薬局にてタリージェ錠5mgを継続歴あり。その後自薬局にて受付け、初めてRMP資材を用いて指導を行った場合。
- ヤーズ配合錠を継続中。緊急安全性情報が出たため、その内容について初めて説明を行った場合。
- クレストール錠5mgを継続中の患者に選定療養について初めて説明をした場合。
- 自薬局にてカルボシステイン錠250mg「トーワ」の調剤歴あり。その後カルボシステイン錠250mg「サワイ」で調剤を行っていたが、不足となりカルボシステイン錠250mg「トーワ」で調剤した場合の初回。
- 他薬局にてカルボシステイン錠250mg「トーワ」を服用歴あり。その後自薬局にてカルボシステイン錠250mg「サワイ」で調剤を行っていたが、不足となりカルボシステイン錠250mg「トーワ」で調剤した場合の初回。
もっとも、重点的な服薬指導が必要と認め、当該加算の算定要件を満たす説明及び指導を行った場合が大前提であることはご留意ください。
特定薬剤管理指導加算3 イ
| 算定可 | ・緊急安全性情報、安全性速報が新たに発出された際に、安全性に係る情報提供・指導を行った場合 ・患者にとっては継続している医薬品であっても、受け付けた保険薬局において重点的な服薬指導が必要と認めた場合、初回に限り算定可能 ・ジャディアンス→トラディアンスのように、同じ成分を含む合剤に変更となった場合、またはその逆も(品目ごとに管理されているため、現状否定される根拠はない) |
|---|---|
| 算定不可 | ・RMP提出品目だが、患者向けRMP資材がない場合(アジルバ・スインプロイク等) ・RMP資材はあるが、対象疾患が限定的であってそれに該当しない場合(エンレストは慢性心不全に対する処方のみ該当) |
特定薬剤管理指導加算3 ロ
選定療養に関するもの
| 算定可 | ・同じ患者であったも、新たに処方された長期収載品において先発医薬品を希望した場合 ・説明の結果、後発医薬品を選択し選定療養とならなかった場合 ・今まで変更不可チェックがついていたものが外れた場合 |
|---|---|
| 算定不可 | ・生活保護受給者(制度対象外のため、理屈上は説明の必要性がないと考えられる)(保険上切られたとの報告はなし) ・後発医薬品のある先発医薬品であるが、選定療養対象外の医薬品である場合(ロキソニン錠60mg、ロキソニンテープ、クラビット錠250mg、ホクナリンテープ0.5mg等) |



一度算定した患者でも、先発希望の患者であれば新しく選定療養対象の薬が処方される度に算定できるということは覚えておきたいですね。
供給不安に関するもの(メーカー変更、銘柄変更)
| 算定可 | ・先発、後発問わず、供給不足を理由として初めて使用する銘柄に変更となった際に毎回算定可能(例:「サワイ」→先発→「トーワ」→「日医工」の場合、それぞれのタイミングで算定可) ・疑義照会にて代替品に変更を行った場合、成分が同一でなくとも算定可 |
|---|---|
| 算定不可 | ・過去に使ったことのある銘柄に変更する場合(例:「トーワ」→「サワイ」→先発→「サワイ」の変更の都度に特管3の算定を行っていた場合、二度目の「サワイ」に変更した際には算定不可) ・事前に医師と申し合わせて代替品で処方がされた場合は算定不可と考えられる(算定根拠がないため) |
同時算定(併算定)、算定回数(算定タイミング)について




参照:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日
補足:特定薬剤管理指導加算の中での併算定の可否
- 特定薬剤管理指導加算1 イと特定薬剤管理指導加算1 ロは併算定不可
- 特定薬剤管理指導加算1 イ・ロと特定薬剤管理指導加算2は、特管2が特管1の算定に係る薬剤以外の抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤を対象とした場合は併算定可、同じ薬剤に対しては併算定不可
- 特定薬剤管理指導加算1 イ・ロと特定薬剤管理指導加算3 イ・ロは併算定可
- 特定薬剤管理指導加算2と特定薬剤管理指導加算3 イ・ロは併算定可
- 特定薬剤管理指導加算3 イと特定薬剤管理指導加算3 ロは併算定可
- 同じ報酬に該当する薬剤が複数あっても、同じ加算を一度の受付で複数回算定することはできない
- 特定薬剤管理指導加算1 イと特定薬剤管理指導加算3 イ・ロの3つを同時に満たす1種類の薬剤が処方された場、これら3つの報酬を併算定可



可能性の話で言えば、
特定薬剤管理指導加算1のイもしくはロ
特定薬剤管理指導加算2
特定薬剤管理指導加算3のイとロ
の4つの加算を同時に算定することはあり得る形になります。
特定薬剤管理指導料3イ・ロ に関する疑義解釈とQ&A(選定療養含む)
疑義解釈とQ&Aの詳細についてはこちら
原文(2024年算定要件・留意事項)
原文(2024年算定要件・留意事項)についてはこちら

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