服用薬剤調整支援料1の2024年算定要件をわかりやすく解説!

目次

早見表(2024年算定要件・薬歴・算定タイミング・レセプト摘要コメント)

服用薬剤調整支援料1

算定要件の概要(2024年度)

算定要件

服用薬剤調整支援料1 125点

1については、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。

つかさ

減薬提案から実際に減薬が成される、実績を問われる報酬ですね。

実施上の留意事項

(1) 服用薬剤調整支援料1
 ア 服用薬剤調整支援料1は、内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の意向を踏まえ、当該患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。

つかさ

患者さんの減薬に対する意向があることが大前提です。

 イ 服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。

 ウ 保険医療機関名及び保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。

つかさ

二種類以上の減薬がされたことを、具体的に記載する必要があります。
例:〇〇クリニックの処方について、9種類から6種類に減薬

 エ 調剤している内服薬の種類数に屯服薬は含めない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する
 また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない

つかさ

アムロジピン+テルミサルタン→テラムロ
ドネペジル→アリドネパッチ
のような変更は減少した種類数に含めないということですね。

 オ 内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。

 カ 患者の服用する薬剤の副作用の可能性の検討等を行うに当たっては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」(厚生労働省)及び日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。

 キ 保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容を薬剤服用歴等に記載する。
 また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴等に添付する等の方法により保存しておくこと。
 なお、服用薬剤調整支援料1に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料1の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない

つかさ

ちなみに服薬情報等提供料2との併算定は否定されておりません。

 ク 当該保険薬局で服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定することができる。

つかさ

前回減薬した医薬品や途中で追加された医薬品の薬効分類に関わらず、
6種類→4種類→7種類→5種類
といった流れでは1年以内に2度目の算定はできないということですね。

補足

  • 6種類以上の内服薬は、複数の医療機関の合計した上で満たしたと判断しても問題ない。
  • 服用薬剤調整支援料2の算定を行ったあとに、結果として服用薬剤調整支援料1の要件を満たしたとしても、その件で服用薬剤調整支援料1を算定することはできない
  • 服用薬剤調整支援料1と2の違いについては、「服用薬剤調整支援料1と2の要件の主な違い」の項目を参照

同時算定(併算定)、算定回数(算定タイミング)について

他調剤報酬との併算定の可否は以下の通りです。

併算定-1
併算定-2
併算定-3

参照:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日

疑義解釈

疑義解釈(令和2年3月31日)

問 15 重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。

(答)算定できない。

出典:疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省 令和2年3月31日

疑義解釈(平成30年3月30日)

問7 服用薬剤調整支援料に規定する内服薬に、浸煎薬及び湯薬は含まれないと理解してよいか。

(答)貴見のとおり。

問8 服用薬剤調整支援料について、内服薬の種類数は2種類以上同時に減少する必要があるか。同時でなくてもよい場合、内服薬の種類数の減少はいつを起点とすればよいか。

(答)同時でなくてよい。保険薬剤師が減薬の提案を行った日以降に、内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。

問9 服用薬剤調整支援料について、「保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する。」となっているが、医療機関から情報が得られるのか。

(答)保険薬局において服用薬剤調整支援料を算定する場合、基本的に保険医療機関は薬剤総合評価調整管理料の算定要件を満たすことになり、保険医療機関から情報提供がなされることが想定される。(参考:薬剤総合評価調整管理料の算定要件(抜粋))
保険薬局からの提案を踏まえて、処方内容の評価を行い、処方内容を調整した場合には、その結果について当該保険薬局に情報提供を行う。

出典:疑義解釈資料の送付について(その1)厚生労働省 平成30年3月30日

保険調剤Q&A(令和6年度版より一部抜粋)

Q157

Q:服用薬剤調整支援料1の対象は、服用開始から4週間以上経過した6種類以上の内服薬を使用している患者とされていますが、対象となる内服薬について、すべて1か所の保険医療機関で処方されていなければならないのでしょうか。それとも、複数の保険医療機関から処方されていて、それらを合わせて要件を満たしていれば構いませんか。

A:1か所の保険医療機関で処方されている場合だけでなく、複数の保険医療機関から処方されている場合についても、それらを合わせたうえで要件を満たしているか判断することで差し支えありません。

Q158

Q:服用薬剤調整支援料1では、処方医に減薬の提案を行うことになっていますが、その手段は口頭でも構わないのでしょうか。それとも文書であることが必要ですか。

A:文書を用いて提案することが必要です。

Q159

Q:服用薬剤調整支援料1と2は、どのように違うのでしょうか。服用薬剤調整支援料1は処方医への減薬の提案と処方薬が減少したことに対するアウトカム評価、服用薬剤調整支援料2については、単に減薬の提案に対するプロセス評価ということですか。

A:服用薬剤調整支援料1は、ポリファーマシーの解消に係る取り組みを評価した点数であるのに対し、服用薬剤調整支援料2は重複投薬などの解消に係る取り組みを評価した点数です。同じような内容の要件は設けられていますが、両点数の目的や趣旨は異なります。

服用薬剤調整支援料1と2の要件の主な違い

服用薬剤調整支援料1服用薬剤調整支援料2
所定点数、上限125点(月1回)110点または90点(3月に1回)
対象患者、対象薬剤保険薬局で調剤された、服用開始から4週間以上経過した内服薬を6種類以上使用している患者複数の保険医療機関から、合計6種類以上の内服薬が処方されている患者
患者への確認患者の意向を踏まえて実施患者もしくは家族などの求めに応じて実施
処方提案、算定までの流れ①患者の服薬アドヒアランスおよび副作用の可能性などを検討
       ↓
②文書により処方医へ減薬を提案
       ↓
③処方される内服薬が2種類以上減少し、かつ、その状態が4週間以上継続した場合に算定
①患者の服用薬を一元的に把握
・受診中の医療機関、診療所
・服用中の薬剤
・重複投薬の状況など
       ↓
②文書により(所定様式あり)、処方医へ重複投薬などの解消(薬剤の種類数の減少)を提案した場合に算定
その他患者の服用薬剤の副作用の可能性の検討を行うにあたり、参考とする資料
・高齢者の医療品適正使用の指針(総論編)(厚生労働省)
・高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(日本老年医学会)など



       ー
令和6年度版 保険調剤Q&A

原文(2024年算定要件・留意事項)

区分14の3 服用薬剤調整支援料
 1 服用薬剤調整支援料1 125点
 2 服用薬剤調整支援料2
  イ 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険薬局において行った場合 110点
  ロ イ以外の場合 90点
注1 1については、6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
 2 2については、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
 3 2については、区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない。

出典:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 厚生労働省告示第57号 別表第三調剤報酬点数表 厚生労働省 令和6年3月5日

区分14の3 服用薬剤調整支援料
(1) 服用薬剤調整支援料1
 ア 服用薬剤調整支援料1は、内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の意向を踏まえ、当該患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。
 イ 服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
 ウ 保険医療機関名及び保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。
 エ 調剤している内服薬の種類数に屯服薬は含めない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。
 オ 内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。
 カ 患者の服用する薬剤の副作用の可能性の検討等を行うに当たっては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」(厚生労働省)及び日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。
 キ 保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容を薬剤服用歴等に記載する。また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴等に添付する等の方法により保存しておくこと。なお、服用薬剤調整支援料1に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料1の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。
 ク 当該保険薬局で服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定することができる。

出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日

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