さて、薬剤師とお金の話、第二弾です。
前記事でも紹介しましたNISAについて、実際に始めてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
すでにNISAに興味を持っている方ならば、前の記事を見る必要はありませんが、よりモチベーションを上げるためにも前記事も良ければ見てくれるとうれしいです。
それでは、早速実践的な内容を学んでいきましょう!
NISAに興味がある方の中には、以下のように思っている方も多いでしょう。
- 良いとは聞くけど、難しそうで調べるのが面倒臭い
- 始めたいけどどうすればいいのかわからない
- 始めたはいいけど、どこに投資すればいいのかわからない
- デメリットはないの?
私も過去に友人に勧められたときに、同じような感想を抱きました。
当時は周囲にもあまり分かっていない人が多く、探り探りやっていたことを思い出します。
今は情報も出揃ってきていますので、皆さんは最短距離で駆け抜けていきましょう!
この記事を読むことで、
- NISAについて理解できます
- NISAを利用するにあたってのコツが掴めます
- NISAを始めるための一連の流れが具体的にわかります
- 制度を始めた際のおすすめの投資先がわかります
- NISAのデメリットがわかります
折角用意してくれている有用な制度、知らず使わずではもったいないです。
むしろ、一介のサラリーマンがNISAを使わずして豊かな老後を過ごすのは難しいといえるでしょう。
一つずつ学んでいきましょう!
この記事を書いている私は、薬剤師歴18年、投資歴6年、ファイナンシャルプランナー。積み立てNISAについては制度開始初期から利用し、現在まででNISAの範囲内のみで約200万円(6年間で約2倍)の利益を出せています。
まだまだ勉強中の身ではありますが、ここまでで得た知見を皆さんと共有させていただければと思います。
これらの制度について検索をしても、証券会社ホームページからの解説が多く、「ポジショントークなのかどうかの判断をつけられない!」と思ったことは無かったでしょうか?
皆さんと同じ薬剤師としての視点から、フラットな立場として紹介をしていきたいと思います。
NISAとはどういうものかを解説
NISA(ニーサ)は、少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がつけられました。
1999年から始まったISA。
今では「ISAミリオネア(日本で言う億万長者)」と呼ばれる資産家が続々と誕生しているそうですよ。
NISAの一番の特徴は、名前の通り、非課税制度であることです。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
一方で、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税(0%)になります。ただしNISA口座で投資できる上限金額は決まっています。
ここまでで、投資って何?株式・投資信託って何?という人も、とりあえずはそういったお金を預けて増やすことを目的とした取り組みがあると理解してくれていれば大丈夫です。
以下の表は、NISAをわかりやすく表にしたものです。
これが制度の内容となります。
図に載せきれていない情報も含めて、以下に概要をまとめます。
- 非課税制度が恒久的に受けられる
- つみたて投資枠と、成長投資枠の二種類がある。
- 元本として、生涯合計で1800万円まで投資可能。
- 成長投資枠は1200万円までが上限となっている。
- 1年間で、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円までが投資可能。
- つみたて投資枠では、金融庁の選んだリスクが低く積み立てに向いた投資信託のみ選択可能
- 成長投資枠では、つみたて投資枠と同じもの+上場された個別株式やリスク高めの投資信託も選択可能
- 対象年齢は18歳以上
- 売却した場合、元本分の金額が非課税限度枠内で再利用可能(売却の翌年に復活)
- 得られた含み益は元本上限にはカウントされない
ザックリ言うと、とりあえず税金がかからない1800万円までの枠が全員に与えられた!
その枠内で投資をすれば、税金を払わずに利益をまるまるもらえてお得!という制度ですね。
しかし、これだけではNISAの制度の表面をなぞったに過ぎません。
より深く理解するためにも、是非次項を読んでいただければと思います。
NISA制度について、更に深堀り~1800万円のその先へ~
NISA制度を最大限利用するための王道戦略
では、ここからもう一歩踏み込んで、その特徴を洗い出してみましょう。
- 年間360万円まで投資可能で、最短5年で埋めきり可能
- 上限は1800万だが、再投資型の場合含み益も上乗せされた状態で運用される
- 売却をしてしまうと、枠の復活までに翌年まで待たなければいけない
- スイッチング(投資信託を買い替えること)をする場合は一度売却をした扱いになる
これらの特徴を踏まえて、最大限に制度を利用するにはどう使えばいいでしょうか?
例えば、1800万円の中で細かく売り買いを繰り返して、利益を出しに行くことも悪くはありません。
例えば、1800万円で毎年配当金をもらって少しの贅沢をすることも悪くはありません。
しかし、これでは結局1800万円の枠を出ることはできませんね。
それよりも、もっと制度を最大限活用できる使い方があります。
それは、1800万円に含み益※を持たせ続けることです。
※含み益とは、例えば100万円で購入した銘柄のの市場価値が150万円となっている場合に、その50万円を「含み益」といいます。
一つの例えとして、1800万円を年利7%で運用(一年で7%増える)ができれば、10年後には含み益込みで約倍の3617万円となります。するとそこからは3617万円での運用となり、更に約10年後にはまた約倍の7270万円となります。そしてさらに約10年後には、またまたその約倍の1億4610万円となります。
(資産簡単シミュレーション/アセットマネジメントOneを使用)
これがかのアインシュタインに「人類最大の発明」と言わしめた、「複利効果」の力です。
一度膨れ上がった資産は、雪だるま式に増えていきます。
この際、例えば全額を現金化した際に特定口座であれば約2562万円の税金を納めるべきところ、NISA枠内ですとその税金は全く払う必要がない形となります。
絶大な節税効果があると言えますね。
ただし、一度売却をしてしまうと一旦リセットです。
また最速でも360万円ずつを5年間かけて入れ、1800万円からスタートをする必要があります。
なので、購入すべき投資信託銘柄は、今の成績だけでなく、数十年後にも売らなくて済む安定した長期的な成長が重視されます。
つまり、NISAの運用の最適解は以下の通り。
長期的に成長し続ける銘柄を、途中で売却することなく、1800万円まで積み上げて、放置をする。
これが、NISAは最速で1800万円を埋めきるだけのゲーム。と言われる所以です。
実際にはなかなか最短5年で埋めきることは難しいでしょうけれど、薬剤師であればいずれ埋めきることができる方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、
毎月5万円で30年。
毎月10万円で15年。
毎月15万円で10年。
毎月30万円で5年かけると埋めきりが可能です。
補足
もちろん、上記の戦略はあくまで理論上だけのものです。
そもそも生涯のうちに1800万円を埋めきることを前提とした作戦ですので、その点はご注意ください。
個々の投資家のライフスタイルや、信条、ゴールは違いますので、この通りにしないことは間違っている、というわけではありません。
ただ、非課税であることを最大限活かす場合、この戦略は非常に有効であると言えます。
実際にNISAの利用を開始する流れについて解説
解説と言っても、実際はやることは以下の3つのSTEPだけです。
- 証券口座を開設
- 投資する銘柄を決める
- その銘柄の積み立て設定を行う
それでは、それぞれの項目について見ていきましょう。
①証券口座を開設
どこで証券口座を開設すればいいのか
まずは資産運用の本拠地となる、証券口座を開設しましょう。
この際に注意して欲しいことは、決して証券会社の窓口や銀行に行ってはいけません。
これだけは本当に声を大にして伝えたいです。
口座開設はネット証券で行いましょう。
ネット証券の利点は、以下の通りです。
- 手数料の低さ
ネット証券は、店舗を持たないため運営コストが低く、その分手数料が安く設定されています。取引ごとの手数料や口座管理費用が低く、投資家にとってコストの負担が少ないです。 - 24時間取引可能
インターネットを利用するため、24時間いつでも取引が可能です。市場が開いている時間帯にリアルタイムでの取引ができるだけでなく、注文の予約も可能です。 - 取扱商品の多様性
ネット証券では、株式、投資信託、ETF、REIT、外国株式、債券、FX(外国為替証拠金取引)など、さまざまな金融商品を取り扱っています。一つの口座で多様な投資先を選択できるため、分散投資がしやすいです。 - 使いやすいツールとプラットフォーム
多くのネット証券では、使いやすい取引プラットフォームやアプリを提供しています。チャート分析、リアルタイムの市場情報、ポートフォリオ管理アプリなど、投資家が効率的に取引を行うための機能が充実しています。 - 便利な口座管理
オンラインで口座の残高確認、取引履歴の確認、資産の移動が簡単に行えます。また、スマートフォンアプリを使ってどこでも取引や口座管理が可能です。 - 迅速な情報提供
ネット証券では、リアルタイムでのマーケットニュースや株価情報が提供されます。迅速な情報入手が投資判断の迅速化と正確化に役立ちます。
これらの理由から、ネット証券は長期の運用に非常に有用です。
証券窓口や銀行のメリットは目の前で人が説明をしてくれることですが、その代償として手数料が高く、少ない選択肢から、利便性の低い方法で運用を行うことになります。
手取り足取り教えてもらわないといけないほど口座開設は難しくないので、是非ネット証券を利用しましょう。
おすすめの証券口座会社
ネット証券にもいろいろとありますが、私のお勧めは、
それぞれの口座開設方法も別ページで紹介しておりますので、参考にしてください。
現在新たに口座開設を行う方にとって、この2択で良いかと思います。
この二つがネット証券業界の口座開設数1位と2位ですね。
どちらを選んでも外れではありません。
楽天経済圏(楽天市場で買い物をし、楽天銀行口座を持っており、楽天payでキャッシュレス決済を行い、楽天カードを持っており、楽天モバイルを利用している等)に深く属している場合は楽天証券で。
そうでないならば基本はSBI証券でいいかと思います。
あまり長く考えている時間の方がもったいないため、さっさと口座を開いてしまう方が吉と出るでしょう。
口座開設自体は無料ですし、口座を開いても株式取引を迫られることは無いので、ご安心ください。
どうしてもベストを選びたい方は、この二社についてクレジットカードの利用も含めて解説した記事を作成予定ですので、お待ちください。
証券口座のNISA口座開設までには1~3週間ほど要します。
その間に投資をする銘柄を考えたり、ポイント還元に有利なクレジットカードの作成をしておきましょう。
②投資する銘柄を決める
投資に最適な銘柄は?
さて、ここまで読んできて、実際にNISA運用の最適解は覚えていますでしょうか?
長期的に成長し続ける銘柄を、途中で売却することなく、1800万円まで積み上げて、放置をする。
つまり、銘柄としては30年、40年、もしくはそれ以上という超長期に渡って安定して成長し続けることが期待されるものが適しているとされます。
そんな都合のいい銘柄があるんですか?
実は、あるんです!
その条件に当てはまるものが、
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim全米株式(S&P500)
の2銘柄です。
大まかに説明をすると、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は全世界から選りすぐりの上位3000銘柄の株式にまるごと投資可能であり、その中でも業界最低水準の運用コストを目指している投資信託です。
そして、eMAXIS Slim全米株式(S&P500)は世界一の経済大国であるアメリカの中から選りすぐりの上位500社の株式にまるごと投資可能であり、その中でも業界最低水準の運用コストを目指している投資信託です。
これらは通称「オルカン」「SP500」という指数に連動している投資信託の中でも、三菱UFJアセットマネジメントが運用している業界最安を目指したeMAXIS Slimシリーズと呼ばれるものの一つですね。
どちらの銘柄の指数も非常に長期的スパンで優秀な成績を出しており、なおかつ信託報酬(手数料)が安く、人気の商品です。
どちらも非常に優秀な投資信託です。
株取引界隈では、NISAにおいてどちらに投資をするのが最適解であるかをよく議論されています。
購入ランキングにおいても、ここ数年間は常に1位と2位をこの2銘柄が独占しています。
SBI証券ファンドランキング(2024年9月1日~2024年9月30日)より
実際どれほどの成績を出しているのか?
一つの例として、本記事の2つ目の項目にて年利7%でシミュレーションを行いました。
しかし実は、ここ30年間の二つの銘柄の指数の成績としては、
全世界株式(オール・カントリー)指数:年利8%
全米株式(S&P500)指数:年利10.6%
と、それを上回る結果を出しています。
つまり30年前に投資を始められていれば、先ほどのシミュレーション以上に資産が増えていたということですね。
あとは世界全体の成長に賭けるか、アメリカの成長に賭けるか。
どちらを選んでもこの二択にたどり着いた時点で大正解ですので、お好みで選択していただければと思います。
積立途中から購入銘柄の変更も可能ですので、あまり悩み過ぎずにまずは初めてみましょう!
③決めた銘柄の積み立て設定を行う
ここまでくれば、あとは実際に積立の設定を行うだけです。
SBI証券ならiphoneやandroid用の「簡単積み立て設定」アプリをインストールし、その中から。
楽天証券ならばWebブラウザから楽天証券のページに直接ログインをして行うといいでしょう。
あとは決めた銘柄を積み立て設定を行うだけです。
積み立て設定においては、クレジットカード積立が圧倒的におススメです。
何故なら、クレジットカードを通して積立を行えば証券口座に資金を移す手間が省ける上、銘柄購入時にポイントも付与されるからです。
ただし、これには条件があります。
SBI証券の場合は三井住友カードからの購入である必要があり、
楽天証券の場合は楽天カードからの購入である必要があります。
これらのクレジットカードは作るだけでポイントがもらえる上、通常利用としてもポイント付与がとても優秀なので、持っていないならばこの機に作成しておくと良いでしょう。
ただし、クレジットカード積立は月に10万円までの上限があることには注意が必要です。
それ以上の金額を積み立て設定したい場合は、手動で銀行から証券口座に資金を移すか、提携する銀行との連携(楽天マネーブリッジ等)が必要となります。
自分のお金を証券口座に移して運用するだけで、クレカ購入をした時のようにポイントがもらえるわけですね。
このポイント還元で優位な点も、この2社をお勧めする理由の一つです。
あとは毎月自動で積み立てられるので、何もする必要がありません。
ほったらかしにしていれば、経済の成長に合わせて購入した投資商品の価値が増え、あなたの資産が増えていきます。
NISAのデメリット
ここまでNISAの良さと始め方を説明していきましたが、ここではデメリットを紹介していきます。
とはいえ、この制度自体が元々存在する株式・投資信託投資という行為に非課税の枠を作っただけのものです。
株式・投資信託投資という行為自体におけるデメリットはあっても、制度特有のデメリットはほとんど存在しません。
敢えて言うならば、以下の3点です。
- 元本割れの可能性がある
- 損益通算できない
- 選べる銘柄が限定されている
①元本割れの可能性がある
あくまで投資なので、投資銘柄や時期によっては損をしてしまうことはもちろんあります。
しかし、本記事で紹介した方法ではそのリスクを大きく下げることができています。
②損益通算できない
これは元々投資をやっていない人には関係のない話なので詳細は省きますが、大きく損をした場合の補填が効きづらくなります。
リスクの高い取引を行いたい場合には、NISA枠が向いていない要因の一つでもあります。
③選べる銘柄が限定されている
こちらも投資をがっつりやっていた人から見ると物足りなさを感じるかもしれません。
初心者からすると比較的安全性の高い銘柄だけを国が選定してくれているのはむしろメリットと言えるかとは思います。
まとめ
- NISAは1800万円を元本上限とし、恒久的に非課税で投資ができる制度
- NISAを運用する場合、
長期的に成長し続ける銘柄を、途中で売却することなく、1800万円まで積み上げて、放置をする。
ことが重要。 - NISAの利用開始の流れは以下の3STEP
STEP1.証券口座を開設
STEP2.投資する銘柄を決める
STEP3.その銘柄の積み立て設定を行う(クレジットカードを作成する) - 投資する銘柄は、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)もしくはeMAXIS Slim全米株式(S&P500がおすすめ
- あくまで投資なので、損をするリスクも存在する
いかがでしたでしょうか?
NISAの実際の運用方法について、少しでも理解が深まったならば幸いです。
基本は今回紹介した方法が株式投資の長い歴史の中で確立された投資手法であり、再現性も高いです。
ほったらかしにしていれば大丈夫なので、手間も時間もかかりません。
実際は短い期間での運用成績が気になってしまって、そのほったらかしが意外と難しかったりするんですけどね。(汗)
本記事では、できるだけわかりやすくを意識したつもりですが、まだ基礎知識があまりない方からすると、分かりづらい部分も多かったかもしれません。
もし疑問点や、〇〇についても解説して欲しい等のリクエストがありましたら、お気軽にご連絡ください。
皆様の薬剤師ライフのお役に立てれば幸いです!
それではまた次の記事でお会いしましょう!
執筆者:つかさ
コメント