早見表(2024年算定要件・薬歴・算定タイミング・レセプト摘要コメント)
算定要件の概要(2024年度)
算定要件
在宅移行初期管理料 230点
1 在宅療養へ移行が予定されている患者であって通院が困難なもののうち、服薬管理に係る支援が必要なものに対して、当該患者の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等と連携して、在宅療養を開始するに当たり必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、当該患者において区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の1その他厚生労働大臣が定める費用を算定した初回算定日の属する月に1回に限り算定する。
ただし、在宅移行初期管理料を算定した日には、区分番号14の2に掲げる外来服薬支援料1は算定できない。
なお、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
2 在宅移行初期管理に要した交通費は、患家の負担とする。
在宅医療開始前の準備が評価される形となりました。
今まで行っていたことへの救済の調剤報酬といっていいでしょう。
実施上の留意事項
(1) 在宅移行初期管理料は、在宅での療養に移行する予定の服薬管理に係る支援が必要な患者に対して、計画的な訪問薬剤管理指導を実施する前に、保険薬剤師が患家を訪問して、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等の多職種と連携しながら、退院時の処方内容を踏まえた薬剤の調整、残薬の整理、適切な服薬方法の提案等の必要な薬学的管理及び指導を行うことを評価するものである。
(2) 在宅移行初期管理料は、以下のア及びイを満たす患者のうち、薬学的管理の観点から保険薬剤師が患家を訪問して特に重点的な服薬支援の行う必要性があると判断したものを対象とする。
ア 認知症患者、精神障害者である患者など自己による服薬管理が困難な患者、児童福祉法第 56 条の6第2項に規定する障害児である 18 歳未満の患者、6歳未満の乳幼児、末期のがん患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者。
イ 在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも保険薬局の保険薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)に係る医師の指示のある患者。
訪問薬剤管理指導を行う予定であれば、基本的にア及びイを満たしていると考えて良いでしょう。
ただし、単一建物の居住者が一人の場合に限ります。詳しくは事項。
(3) (2)のイの場合においては、「15」在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(2)及び(12)における単一建物診療患者の取扱いに準ずること。
基本は個人宅への訪問が想定です。
ただ、施設においても、「当該建築物で居宅療養管理指導を行う利用者数が、当該建築物の戸数の10%以下」または「当該建築物の戸数が20戸未満で、居宅療養管理指導を行う利用者が2人以下」に該当する場合は「単一建物の居住者が一人」として取り扱われるため、算定が可能ということになります。
(4) 必要な薬学的管理及び指導として、薬物療法に係る円滑な在宅療養への移行及び在宅療養の継続の観点から、以下に掲げる業務を実施すること。
ア 患者及びその家族等から、服薬状況、居住環境、家族関係等の薬学的管理に必要な情報を収集すること。
イ 患家における残薬の確認及び整理並びに服薬管理方法の検討及び調整を行うこと。
ウ 日常の服薬管理を適切に行うことができるよう、ポリファーマシーへの対応や服用回数を減らすための観点も踏まえ、必要に応じて医師等と使用する薬剤の内容を調整すること。
エ 在宅での療養に必要な情報を当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等の多職種と共有すること。
オ 退院直後の患者の場合は、入院していた医療機関と連携し、入院中の処方内容に関する情報や、患者の退院に際して実施された指導の内容などに関する情報提供文書を活用した服薬支援を実施することが望ましい。
(5) 実施した薬学的管理及び指導の内容等について薬剤服用歴等に記載し、必要に応じて、薬学的管理指導計画書を作成・見直しすること。また、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の医師及び居宅介護支援事業者の介護支援専門員に対して必要な情報提供を文書で行うこと。なお、この場合の文書での情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
在宅医療を担う医師及びケアマネージャーへの文書による情報提供が必須となります。
(6) 在宅移行初期管理料は、計画的な訪問薬剤管理指導を実施する前であって別の日に患家を訪問して(4)に掲げる業務を実施した場合に算定する。なお、この場合に実施した服薬管理の支援等については、外来服薬支援料1を別途算定できない。
事前に居宅療養管理指導料の契約を行う際に実施するとスムーズです。
実施内容は外来服薬支援料1と被るところが多く、より包括的支援が必要かと考えられるため、この点数が設定されていると考えられます。
(7) 在宅移行初期管理料は、当該患者において在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも保険薬局の保険薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)の算定した初回算定日の属する月に1回に限り算定する。
在宅医療に係る指導料を初回に算定した月と同じ月に算定をする必要があります。
実施日が算定日である必要はないため、算定のタイミングにさえ気を付ければ大丈夫です。
(8) 在宅移行初期管理料に係る業務について、「15」に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(4)に規定する在宅協力薬局が実施した場合は算定できない。
在宅協力薬局とは、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(在宅基幹薬局)が、連携する他の保険薬局のことです。
(9) (6)に掲げる訪問を実施した日付について、調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。
実施した日と算定日が異なるため、実施した日付をレセプト摘要欄にコメントを記載する必要があります。
また、レセプト摘要欄には、(2)のアのいずれの患者が対象であるかも選択する必要があります。
(10) 「注2」に規定する交通費は実費とする。
(11) 在宅移行初期管理料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。
補足
- 在宅医療に係る指導料(在宅患者訪問薬剤管理指導料等)を初回に算定した月と同じ月に算定をする必要がある
- 訪問薬剤管理指導を実施していた患者が入院した場合、退院後に再度訪問薬剤管理指導を実施する際には算定できない。
- 同じ件で服薬情報等提供料は算定できない
同時算定(併算定)、算定回数(算定タイミング)について
同時算定(併算定)について
- 同じ件で服薬情報等提供料は算定できない
- 訪問日に実施した服薬管理の支援等について、外来服薬支援料1を別途算定できない
算定回数(算定タイミング)について
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも保険薬局の保険薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)の算定した初回算定日の属する月に、1回に限り算定
- 訪問薬剤管理指導を実施していた患者が入院した場合、退院後に再度訪問薬剤管理指導を実施する際には算定できない
疑義解釈
疑義解釈(令和6年3月28日)
問 24 訪問薬剤管理指導を実施している在宅での療養を行っている患者が入院した場合であって、退院後に再び在宅療養を継続する場合に、在宅移行初期管理料を算定できるか。
(答)算定不可。本管理料は在宅での療養に移行する予定の患者であって計画的な訪問薬剤管理指導を実施する前の段階における薬学的管理及び指導に対する評価であり、入院前に訪問薬剤管理指導を実施していた場合など、すでに在宅療養における環境が整っている患者においては、本管理料の対象とならない。
出典:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 令和6年3月28日
保険調剤Q&A(令和6年度版より一部抜粋)
該当項目なし。
原文(2024年算定要件・留意事項)
15の8 在宅移行初期管理料 230点
注1 在宅療養へ移行が予定されている患者であって通院が困難なもののうち、服薬管理に係る支援が必要なものに対して、当該患者の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等と連携して、在宅療養を開始するに当たり必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、当該患者において区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の1その他厚生労働大臣が定める費用を算定した初回算定日の属する月に1回に限り算定する。ただし、在宅移行初期管理料を算定した日には、区分番号14の2に掲げる外来服薬支援料1は算定できない。なお、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
2 在宅移行初期管理に要した交通費は、患家の負担とする。
出典:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 厚生労働省告示第57号 別表第三調剤報酬点数表 厚生労働省 令和6年3月5日
区分15の8 在宅移行初期管理料
(1) 在宅移行初期管理料は、在宅での療養に移行する予定の服薬管理に係る支援が必要な患者に対して、計画的な訪問薬剤管理指導を実施する前に、保険薬剤師が患家を訪問して、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等の多職種と連携しながら、退院時の処方内容を踏まえた薬剤の調整、残薬の整理、適切な服薬方法の提案等の必要な薬学的管理及び指導を行うことを評価するものである。
(2) 在宅移行初期管理料は、以下のア及びイを満たす患者のうち、薬学的管理の観点から保険薬剤師が患家を訪問して特に重点的な服薬支援の行う必要性があると判断したものを対象とする。
ア 認知症患者、精神障害者である患者など自己による服薬管理が困難な患者、児童福祉法第 56 条の6第2項に規定する障害児である 18 歳未満の患者、6歳未満の乳幼児、末期のがん患者及び注射による麻薬の投与が必要な患者。
イ 在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも保険薬局の保険薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)に係る医師の指示のある患者。
(3) (2)のイの場合においては、「15」在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(2)及び(12)における単一建物診療患者の取扱いに準ずること。
(4) 必要な薬学的管理及び指導として、薬物療法に係る円滑な在宅療養への移行及び在宅療養の継続の観点から、以下に掲げる業務を実施すること。
ア 患者及びその家族等から、服薬状況、居住環境、家族関係等の薬学的管理に必要な情報を収集すること。
イ 患家における残薬の確認及び整理並びに服薬管理方法の検討及び調整を行うこと。
ウ 日常の服薬管理を適切に行うことができるよう、ポリファーマシーへの対応や服用回数を減らすための観点も踏まえ、必要に応じて医師等と使用する薬剤の内容を調整すること。
エ 在宅での療養に必要な情報を当該患者の在宅療養を担う保険医療機関等の多職種と共有すること。
オ 退院直後の患者の場合は、入院していた医療機関と連携し、入院中の処方内容に関する情報や、患者の退院に際して実施された指導の内容などに関する情報提供文書を活用した服薬支援を実施することが望ましい。
(5) 実施した薬学的管理及び指導の内容等について薬剤服用歴等に記載し、必要に応じて、薬学的管理指導計画書を作成・見直しすること。また、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の医師及び居宅介護支援事業者の介護支援専門員に対して必要な情報提供を文書で行うこと。なお、この場合の文書での情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
(6) 在宅移行初期管理料は、計画的な訪問薬剤管理指導を実施する前であって別の日に患家を訪問して(4)に掲げる業務を実施した場合に算定する。なお、この場合に実施した服薬管理の支援等については、外来服薬支援料1を別途算定できない。
(7) 在宅移行初期管理料は、当該患者において在宅患者訪問薬剤管理指導料(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費(いずれも保険薬局の保険薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)の算定した初回算定日の属する月に1回に限り算定する。
(8) 在宅移行初期管理料に係る業務について、「15」に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の1の(4)に規定する在宅協力薬局が実施した場合は算定できない。
(9) (6)に掲げる訪問を実施した日付について、調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(10) 「注2」に規定する交通費は実費とする。
(11) 在宅移行初期管理料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。
出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日
十四 在宅移行初期管理料に規定する費用 (1) 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表の5に規定する居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合であって、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表の5の注1に規定する単一建物居住者が一人の場合に限る。) (2) 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表の4に規定する介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合であって、指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表の4の注1に規定する単一建物居住者が一人の場合に限る。)
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