【管理薬剤師向け】管理薬剤師の仕事内容と求められる7つのスキル

管理薬剤師の業務とスキル

こんにちは!つかさです。

この記事では、管理薬剤師として必要とされるスキルについて解説をしていきたいと思います。

特にこれから管理薬剤師になる方や、すでに管理薬剤師の方に是非読んでみていただければと思います。

さて、薬剤師としてある程度働いてきた皆さんは、以下のように思ったこともあるのではないでしょうか。

  • 管理薬剤師って実際どんなことをしているのか?
  • 管理薬剤師となった場合にどのように頑張ればいいのか?
  • 「出来る管理薬剤師」とはどんなものなのか?

この記事を読めば、次のようなことがわかります。

  • 管理薬剤師に必要なスキルが具体的にわかります
  • その過程で、実際にどのようなことをしているのかがわかります
  • 「出来る管理薬剤師」になるにはどうすればいいのかがわかります

これからの管理薬剤師にとって、今後重点的に伸ばすべきポイントが見つかるでしょう。
また、現在管理薬剤師の皆さんにとっては自身の振り返りと、足りない部分が見つかるいいきっかけとなるのではないでしょうか。

つかさ

大体の薬剤師が、一旦の目標を管理薬剤師としているのではないでしょうか?
きっと保険薬剤師であればすべての人の参考になるかと思います。

それでは早速、見ていきましょう!

このページを作成している私は、薬剤師歴18年、投資歴7年、ファイナンシャルプランナー。
某薬局グループでエリアマネージャー兼、法令室室長をしております。
私自身も複数店舗の管理薬剤師経験があり、現在は12店舗の管理薬剤師を束ねる役割を任されています。
本記事では、これまでに得られた知見を皆さんに共有したいと思います。

目次

管理薬剤師とは

まずは管理薬剤師とはそもそもどういった立場かをおさらいしましょう。

管理薬剤師とは、薬局や医療機関の調剤部門において、医薬品の適正な管理や薬局の運営全般を統括する責任者のことを指します。薬機法(旧薬事法)に基づき、薬局や医薬品の販売・管理を行う事業所には、薬剤師を管理者として置くことが義務付けられています。

管理薬剤師の主な業務内容

実際の主な業務の概要は以下の通りです。

  1. 医薬品の管理
    医薬品の適正な保管・管理、在庫管理、期限切れ防止、麻薬などの特殊薬剤の管理。
  2. 調剤業務の監督
    処方箋の確認や調剤の正確性を監督し、患者への適切な服薬指導を行う。
  3. 薬局の運営管理
    薬局全体の運営を統括し、スタッフの教育・指導、業務の効率化を推進。
  4. 法令遵守と監査対応
    薬機法や関連法規を遵守し、行政の監査や指導に対応。
  5. 患者対応
    患者からの相談や質問に対応し、医療安全と患者満足度を向上させる。
  6. 多職種連携
    医師や看護師、介護士、他の薬剤師等と連携し、地域医療やチーム医療に貢献する。
  7. リスクマネジメント
    インシデント管理、安全管理体制の構築、緊急時対応を行い、安心・安全を提供する。

管理薬剤師は、薬局の運営や医薬品の適正使用を通じて、地域医療や患者の健康維持に大きく貢献します。
そのためには、専門知識だけでなく、運営管理能力やリーダーシップも求められます。
薬局全体の品質向上と患者の安全を守るために、重要な役割を果たす存在です。

つかさ

管理薬剤師によって、その店舗の良し悪しはハッキリ分かれます。
小さな空間ですが、あなたに任された一つのお城です。
より良いものにしていきたいですね。

管理薬剤師の責任

また、医療機関の責任者として一定の責任が求められる重要な役職でもあります。

2021年薬機法の改正において、管理薬剤師の責務について明記がされました。
「管理者による意見申述義務により、管理者は薬局開設者等に対して必要に応じて意見を書面により述べなければいけません。
これは管理者自身が認識した問題点や必要な改善点のための措置を薬局開設者等に対して報告することが求められていることを認識する必要があります。

つかさ

問題が起きた際に、「上の指示通りにやっていただけです。」という言い訳は通じないということですね。
薬剤師は訴えられるリスクも大きい職種です。
自分を守るためにも、何が正しくて何が間違っているかは管理薬剤師も判断して、開設者に意見を言えなければなりません。

そんな責任の重い管理薬剤師ですが、上記のような業務を行うためにどのようなスキルが必要なのか。
スキルの種類ごとに分けて見ていきましょう。

管理薬剤師に求められる7つのスキル

管理薬剤師の7つのスキル

管理薬剤師は、薬局運営の中心的な役割を担う責任者であり、多岐にわたる業務を統括する必要があります。
そのため、専門知識だけでなく、業務マネジメントやコミュニケーション、リーダーシップなど幅広いスキルが求められます。
では、それぞれのスキルについて、もう少し詳細に見ていきましょう。

1.専門知識と実務能力

薬剤師実務能力

当たり前の話ですが、薬剤師として一定以上の専門知識と、実務を行うために必要な能力が求められます。

具体的には主に次の4つです。

門前診療科に対する深い薬学知識+あらゆる科に対する幅広い知識

これは門前医療機関がある場合の話にはなりますが、受け付ける処方箋の診療科については門前診療科の割合がかなり多くなります。
少なくともその科の診療については、薬物治療に限らず治療の流れを全般的にガイドラインから勉強をしておきたいところです。

つかさ

面である場合も多く処方箋を受けるクリニックはあると思うので、その診療科から優先的に勉強をしておきたいところですね。

また、門前薬局であるなら、そのクリニックの先生の処方に最も詳しく、最も密に連携できていなければ強みを活かせません。
疑問を持った処方については、処方意図をしっかり門前医に確認しておきましょう。

そして、これからの薬局は地域のかかりつけ薬局としての役割も求められています。
他の医療機関の処方箋を持ってきてくれることもあるでしょうから、最低限以上に対応できるように、幅広い知識を身に着け、常にアップデートしていくことも必要です。

つかさ

新薬情報や添付文書改訂などはMSさんやMRさんが案内してくれることもあります。
生涯学習は薬剤師の一つのテーマですので、積極的に情報収集していきましょう。

調剤技術

今後の薬剤師は「対物から対人へ」がテーマとはいえ、調剤業務もやはり薬剤師として蔑ろにできないでしょう。

一包化、軟膏の混合、散剤分包、粉砕はもちろんのこと、攪拌が必要な点眼・点耳、煎じ薬、更には麻薬の混注まで、知識・技術が必要な調剤はいくつも存在します。

すべてを完璧にこなせる必要はありませんが、いざというときに調べながらなんとかできるだけの技量・知識は必要となります。

服薬指導能力

「対物から対人へ」の代表的な業務ですね。
薬剤師としての一番の腕の見せ所であり、個人のレベル差が大きく出やすいところでもあります。

服薬指導は長い薬剤師人生の中で最も重要かつ、無限に成長の余地があるものであると私は考えています。
実際のところ日常業務のルーチンの中では、つい小手先で行ってしまうことも多いでしょう。
しかし、ただ決まったことを確認し、決まったことを伝えて終わりでは、質の高い服薬指導とは言えません。
何しろ相手は生身の人間です。同じ説明で済むわけがないのです。

個々の患者さんに合わせた質の高い服薬指導を行うには、本来以下のような要点を押さえる必要があります。
処方箋の正確な解析、患者背景の把握、質の高いヒアリング、鋭い観察力、相手の理解度の把握、ポイントを押さえたわかりやすい説明、説得力のある指導内容 etc…

つかさ

この辺りは語りだすと長くなるので、本記事ではここまでにしておきます。(笑)

そして当然のことながら、患者にとっても自分にとっても時間は有限です。
それらのことをスピード感を持って行えるだけの訓練と、取捨選択能力も必要となります。

常に改善点があるという事を意識して、服薬指導を行うようにしてみましょう!

在宅訪問対応能力

「対物から対人へ」の発展版。
今となっては珍しくはない在宅訪問ですが、これからの薬剤師における基本かつ必須の業務です。
優先的に経験をしたい業務No.1と言っていいでしょう。

まだ経験がない方は、いずれ経験をしたいことをきちんと会社に伝えておいた方がいいかもしれません。
また、イチ薬剤師の行動からでも開始することは可能です。

在宅患者の獲得方法については、以下の記事をご参考ください。

2.コミュニケーション能力

コミュニケーション能力

現在はどの職業でもそうですが、薬局の管理薬剤師においてもコミュニケーション能力は必須です。
地域の健康相談窓口としての薬局が求められている昨今、患者、他店薬剤師、医師だけでなく、看護師やケアマネージャー、介護士など多くの職種と関わる機会が増えています。
橋渡し役となることも多いため、様々な職種と円滑に連携を行うことができるだけのコミュニケーション能力が必要となります。

患者(来局者)との対話

服薬指導に限らず、OTC販売や薬や健康食品の相談など、様々な理由で患者さんは薬局に訪れます。
管理薬剤師は薬局の顔ですので、何かあれば基本は前に出る立場であることを意識しましょう。

また、薬局は医療機関でもあり小売業でもあるため、サービス業としての顔も持っています。
毅然とした立場で指導をする立場でありながら、不快な思いをさせないようにも気を付けなければなりません。

そのためには、患者さんとしっかりコミュニケーションを図り信頼関係を作っていく必要もあるでしょう。

医療機関の医師・スタッフとの連携

特に門前薬局である場合には、その医療機関と密な連携を取る必要があります。
疑義照会や残薬調整の流れ、出荷調整品目の変更ルール決めなどを予め行っておくことで、お互いの無駄を減らし、患者の待ち時間を減らすことも出来ます。

また、患者は疾患の内容や、治療の流れと進行具合、どのようなことに気を付ければよいか等、薬に関すること以外にも知りたいことが多くあります。
予め処方意図や治療の方針、生活の注意点などを医師や看護師から聞き取り擦り合わせておくことで、より内容の濃い服薬指導を行うことが可能となります。

つかさ

これらは患者さんを通して聞き取れることもありますので忘れずに記録を残しておきたいところですね。

薬局内スタッフとの連携

薬局運営はなによりチームワークが大事です。
少ない人数で多数の業務を効率的に回すには、それぞれが考えて動く必要があります。
そして、全体の業務の割り振りや、流れを作る指揮者の役割は管理薬剤師の仕事です。
スタッフそれぞれとしっかりコミュニケーションをとり、より良い連携を目指しましょう。

つかさ

チームワークが上手くいくかどうかで、生産性は驚くほど変わります。
チームを活かすも殺すも管理薬剤師次第ですね。

その他、多職種との連携

特に在宅医療の場に立つと、一気に多職種との交流が増えます。
ケアマネージャーとは定期的に連絡を行い、訪問看護師やヘルパーと連携を行う機会もよくあります。
切れ目のない医療・介護を行うためには、薬剤師の立場として円滑なコミュニケーションを行うことが必須です。
外来においても介護度のついている患者は多くいるため、連携を取ることができることは頭に入れておくとよいでしょう。

つかさ

在宅医療に関わっている薬剤師は特に実感があるのではないでしょうか。

また、MS、MRとの関係も大事にしなければなりません。
私たちの大事な仕事道具である、「薬」の取引相手です。
出荷調整が激しい昨今、特にMSとは上手く連携をして薬を用意する必要があります。

3.マネジメント能力

マネジメント能力

マネジメント能力とは、物事の管理や運営を行う能力のことです。
薬局の規模はそれぞれですが、中には様々なタスクを抱えており、それをチームとして運営する必要があります。

管理薬剤師は業務のすべてを把握した上で、上手く割り振り、一定のクオリティを保ち、効率化や質の向上を図るための能力を身につけなければなりません。

店舗内の業務管理・割り振り

薬局内の業務は多岐にわたります。
処方箋受付、マイナンバーの説明、後発医薬品説明、レセコン入力、処方箋監査、疑義照会、調剤、調剤監査、服薬指導、薬歴作成、納品、伝票入力、在庫管理、欠品対応、出荷調整品目対応、不動在庫整理、会計、締め作業、在宅業務、レセ請求、各種行政対応 etc…

つかさ

パッと思いつくものでも、これくらいありました。

しかし、個人に把握できないような範囲ではないと思います。

もちろん管理薬剤師がすべてを普段から行う必要はありませんし、すべてにおいて最高のクオリティを出せる必要はありません。
ですが、やろうと思えばできるに越したことはないでしょう。
そうでなければ、仕事量を適切に図ることが出来ず、的確に割り振ることができません。

また、薬局という小さな範囲では、律速地点が随時変化しがちです。
律速地点を見極め上手く埋めることができることが、「出来る管理薬剤師」の一歩となるでしょう。

在庫管理

在庫管理は必要な医薬品を適切に保管し、供給を維持するための重要な業務です。
在庫管理が適切に行われることで、医薬品の欠品や過剰在庫を防ぎ、患者満足度の向上と医薬品廃棄などの損失回避につながります。

過去の医薬品使用料のデータや、季節的な流行等から予測し、適切な在庫数を確保する必要があります。
他にも、納品作業、不動在庫や廃棄薬の処理、麻薬や毒薬・覚せい剤原料の管理、冷所品の管理等、多岐にわたります。

また、昨今の出荷調整・出荷制限の嵐により、その難易度と重要性は増してきているように思います。

つかさ

現在進行形で苦しめられている方も多いのではないでしょうか?

薬が無くてはお薬屋さんは務まりません。
在庫管理の全ての業務を管理薬剤師が行う必要はありませんが、把握した上で適切に割り振りを行うと良いでしょう。

収益管理

薬局は医療機関でありながら、小売業でもあります。
医療の面で患者さんに貢献することは重要なことですが、そもそも薬局が業として成り立たない経営を行っていては、その貢献自体ができなくなります。
管理者となったならば、小売業として収益状況についても理解しておくとよいでしょう。

つかさ

薬局経営を安定・向上させることも地域の医療への貢献の一つです。
しっかり向き合っていきましょう。

4.法律の把握、対応能力

法律の把握と対応能力

保険薬局は、保険調剤報酬が収入のメインであることがほとんどでしょう。
つまり、私達「保険薬剤師」の給料は調剤報酬から得られているということです。
一般的な小売業と違い、自由に販売物を作って自由に価格設定をして販売するわけにはいきません。
保険薬剤師として、健康保険法や薬機法、薬剤師法、他にも個人情報保護法などの関連法規を把握した上で遵守しなければならないのです。
また、保健所の監査や地方厚生局による個別指導等への対応を行える必要があります。

薬機法や関連法規の把握と遵守

皆さん保険薬剤師として登録をし、保険薬局で働いているのではないかと思います。

保険調剤の基本的ルールとして、
「保険薬剤師であるということは、健康保険法等できていされている保険調剤のルールを熟知していることが前提となる。また、保険薬剤師が保険調剤を行うにあたっては、保険調剤のルールを遵守する必要がある。」
とされています。

つまり、何となく保険薬剤師として登録できてしまいますが、我々は保険調剤の関連法規について理解していることが大前提となっているわけです。

特に管理薬剤師においては、店舗単位での医薬品の保管方法や伝票管理、OTC販売ルール等も把握しておく必要があります。

つかさ

本サイト自体が、その保険調剤のルールをわかりやすく学ぶためのサイトとなっていますので、ご活用いただければと思います。

薬事監視指導や個別指導(集団的個別指導)への対応

薬事監視指導は、医薬品、医療機器、化粧品、医薬部外品などの品質や安全性を確保し、適正な流通や使用を促進するために、行政機関(主に保健所)が行う監視や指導の活動を指します。

個別指導や集団的個別指導は、保険医療・保険薬局の適正な運営を確保し、法令違反や不適切な請求を防止し、医療や調剤の質を向上させることを目的として、各地域の厚生局により行われます。

どちらも法令を正しく理解し、遵守した上で運営を行っているかを確認するものです。
個別指導については新規や高点数の薬局でない限りは体験することも無いかと思いますが、薬事監視指導については定期的にどの薬局でも行われます。

つかさ

薬事監視指導は見たことがあったり、実際に対応したことがある方も多いのではないでしょうか。

先人の知恵も借りながら、対応できる準備を行っておきましょう。

5.問題解決能力

問題解決能力

管理薬剤師とは、いわゆる店舗の責任者です。
問題が起きた場合には、率先してその解決にあたる必要があります。
また、そもそも問題が起きないためのシステムを構築する役目も担っています。

クレーム、トラブルの対処

店舗業務につきものである、クレームやトラブルの対処も主に責任者である管理薬剤師の仕事です。
理不尽なクレームや、インシデント、スタッフ間や他医療機関とのトラブルなど、問題はどうしても起きてしまいます。

不測の事態こそ、管理薬剤師の腕の見せ所です。
経験によって得られるものも大きいですが、様々な場面を想定しておくことで対応できる問題も多くあります。

つかさ

クレーム、トラブルなどの事例を集積している会社も多いと思うので、確認してみると良いでしょう。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、業務や活動に伴うリスク(危険や損失の可能性)を特定し、その影響を最小限に抑えるための一連のプロセスを指します。
薬局のような医療現場では、患者の安全確保や業務の円滑な遂行のために、特に重要となります。
インシデントレポートを作成し、全スタッフが気軽に報告できる仕組みを作り、報告漏れの無いようにしましょう。

つかさ

問題は起こる前に止められるのがベストです。
万一起きたら次は起きないように、オペレーションやシステムの見直しを行いましょう。

6.リーダーシップ

リーダーシップ

管理薬剤師は、薬局の業務全般を統括する責任者として、チームの方向性を示し、スタッフを指導・支援するリーダーシップが求められます。
チーム全体を効果的に指導し、医療現場での変化や課題に対応できるリーダーシップを発揮することで、薬局の質と信頼を高めることが求められます。

スタッフの指導・教育

管理薬剤師は局内スタッフを束ねる立場でもあります。
店舗規模によって人数は様々ですが、完全に1人の薬局でない限りは部下に当たるスタッフが存在することでしょう。

自分自身もそうであったように、初めから完璧に仕事を行える人はいません
また、時代の変化とともに、薬局内の業務も変化しております。
スタッフ全体が成長をしていかなければ、薬局も長く続けていくことは難しいでしょう。

そういったスタッフの成長を促すための指導・教育に関しても、最も身近な上司である管理薬剤師の仕事となります。

つかさ

良い医療を提供するには、働くスタッフの教育が不可欠ですね。

モチベーションの管理

人間は感情の生き物です。
長く仕事をしていると、辛いことが起きたり、マンネリ化したり、嫌になってしまうことは誰にでもあります。
仕事へのモチベーションが落ちてしまうと、パフォーマンスに影響がでてきます。
パフォーマンスが落ちることで、チームとしての効率性も落ち、本人の職場内での価値を落とし、離職してしまうこともあるでしょう。

スタッフ個々のプライベートのことはどうしようもありませんが、仕事内のモチベーションは管理薬剤師の管理できる範疇の一つです。
積極的にコミュニケーションを図り、上手く目標設定を行い、褒めたり認めたり、部分的に裁量を与えたり、新しいことへの挑戦の機械を与えたりといった方法で、モチベーションを維持する工夫をすると良いでしょう。

つかさ

個々のスタッフのパワーを最大限引き出すのも、管理薬剤師の仕事ということですね。

7.ITスキル

ITスキル

管理薬剤師にとってITスキルは、業務効率化、患者サービス向上、法令遵守の観点から必須です。
医療分野のデジタル化が進む中で、ITを活用して薬局運営を最適化し、患者の安全と満足度を向上させることが求められています。

レセプトPCや薬歴等のシステムの理解と操作

現代の薬局では、ほとんどのものが電子化されているのではないでしょうか。
電子レセプトシステム、電子薬歴システム、オンライン服薬指導システム、監査システム、ピッキングマシーン、電子天秤、錠剤・散薬分包機、各種パソコン、プリンター、顔認証カードリーダー、自動精算機、在庫管理ソフト、各種プリンター、スキャナ、タブレット、電話・FAX機、医療情報ネットワーク etc.

薬局業界に限る話ではありませんが、多くの電子機器の利便性の恩恵を受けながら業務を行っていることかと思います。

電子機器は、使い方次第で高い効果を発揮することもあれば、本来のスペックを全く活かせないこともあります。
要は使いようということですね。
これからの管理薬剤師は、様々な電子機器の使い方に精通し、最大限に活用できる知識と応用力が求められています。

つかさ

電子機器には機械トラブルがつきものです。
いざというときに対処できるかどうかも、普段から電子機器をしっかり活用できているかで差が付きます。

データの収集・分析

薬局薬剤師の業務は数字との闘いです。
例えば、以下の通りです。

  • 今の店舗では技術料を毎月どれくらい得られているのか
  • かかりつけ薬剤師指導料はどれくらい算定できているか
  • 地域支援体制加算を算定するには何をどれくらい頑張ればいいのか
  • 後発医薬品調剤体制加算3を算定するにはあとどれくらい後発率を上げればいいのか
    etc.

現状の課題を洗い出し、正しい目標を設定するためには、データの収集と分析能力が必要となります。

他にも、行政への報告、施設基準の申請、会社上層部への報告などでデータを提出する機会はたくさんあります。

つかさ

正確に求められるデータを出すことは意外と慣れが必要です。
普段より意識をしておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

管理薬剤師とは一つの店舗を総括する立場であることから、多角的な技能が求められます。
そんなことまで?と思うような内容もあったのではないでしょうか。

もちろん、現行の管理薬剤師が皆このようなスキルを十分に持っているわけではありません。
正直皆さんの周りには、あまり尊敬できない管理薬剤師も多くいることでしょう。

つかさ

実際のところ、これまで名前だけの管理薬剤師はたくさん存在します。
そして、それで成り立っていたことは事実です。

しかし、今後はそう簡単にはいかないと私は考えます。
理由としては、以下の6点です。

  • 能動的に算定を行う必要のある調剤報酬が増えたり、地域支援体制加算のハードルが上がっていること
  • 今後も新薬は増えていく中、出荷調整が頻発しており、在庫管理の難易度が上がっていること
  • オンライン服薬指導やマイナンバーの活用等が国主導で推進されてきていること
  • 地域包括ケアシステムの推進やかかりつけ薬剤師制度の拡充、災害・感染症対応など、より高度な医療上の役割が求められていること
  • 働き方改革や調剤助手の導入、医療DXの進出により、今まで以上に洗練された業務の効率化が求められていること
  • 薬局を半分にすると宣言されている通り、更なる競争の激化が予想されること
つかさ

これらについてはまた別の記事で解説をしていきたいと思います。

国の方針に沿ってやることをやっている店舗には報酬を、やっていない店舗には罰を与えるかのようなシステムが作られてきています。
現実として、管理薬剤師の資質によりはっきりと収益に差が生まれるようになっているのです。
今までのようなお飾りの管理薬剤師(口が悪くてすみません)では成立しない時代はすでに来ていると言って良いでしょう。

逆に言うと、そういった「出来る管理薬剤師」となれれば、会社内で非常に重宝されます。
現状そのレベルの薬剤師を育てるシステムがこの業界にはまだまだ構築されていないように感じます。
つまり、そのような人材は業界内どこでも引っ張りダコで、転職時にも非常に有利に働くということです。

この記事にたどり着いた皆さんは、せっかくなので「出来る管理薬剤師」を目指してみてくれると嬉しいです。

皆さんの薬剤師ライフがより輝くためのお手伝いをさせていただければ幸いです!

また次の記事でお会いしましょう!

執筆者:つかさ

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