重複投薬・相互作用等防止加算の疑義解釈とQ&A抜粋

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疑義解釈

疑義解釈(平成28年3月31日)

(問30)重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定対象の範囲について、「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」とあるが、具体的にはどのような内容が含まれるのか。

(答)薬剤師が薬学的観点から必要と認め、処方医に疑義照会した上で処方が変更された場合は算定可能である。具体的には、アレルギー歴や副作用歴などの情報に基づき処方変更となった場合、薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合は対象となるが、保険薬局に備蓄がないため処方医に疑義照会して他の医薬品に変更した場合などは当てはまらない。

(問31)これまでの「重複投薬・相互作用防止加算」では、同一医療機関の同一診療科の処方せんについて処方変更があったとしても算定できないとされていたが、平成28年度診療報酬改定で見直した「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」については、同一医療機関の同一診療科から発行された処方せんであっても、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は算定可能と理解してよいか。

(答)「重複投薬・相互作用等防止加算」及び「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」は、薬学的観点から必要と認められる事項により処方が変更された場合には算定可能としているので、上記の内容も含め、これまで算定できないとされていた「薬剤の追加、投与期間の延長」等であっても、要件に該当するものについては算定可能である。

出典:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 平成28年3月31日

保険調剤Q&A(令和6年度版より一部抜粋)

Q113

Q:重複投薬・相互作用等防止加算は、複数の異なる保険医療機関で処方箋を交付された患者でないと算定の対象とならないのでしょうか。また、薬剤の入れ替えは処方の変更として認められないのでしょうか。

A:調剤管理料の加算点数である重複投薬・相互作用等防止加算は、複数の異なる保険医療機関で処方箋を交付された患者の場合に限らず、①併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む)、②併用薬、飲食物などとの相互作用、③残薬、④そのほか薬学的観点から必要と認める事項について、処方医に疑義照会を行い、処方変更が行われた場合に算定できます。

Q114

Q:A診療所で発行されたムコダイン錠250mgを含む処方箋を受け付けたのですが、その患者はすでにB診療所からムコダイン細粒を処方され、C薬局で調剤を受けており、現在服用中であることがわかりました。そこで、A診療所の医師に問い合わせを行った結果、ムコダイン錠は削除されることとなりました。
 このように、別の保険薬局で調剤された医薬品との重複投薬の防止でも、重複投薬・相互作用等防止加算は算定できるのでしょうか。
 また、このような場合、レセプトにはムコダイン錠を削除したことについてコメントは必要でしょうか。

A:複数の処方箋動同士だけでなく、1枚の処方箋であっても算定できます。
 また、レセプト記載に当たっては、特に処方変更の内容を記載することまでは求められていません。したがって、レセプトにはムコダイン錠を削除したことについてコメントは必要ありませんが、わかりにくいと判断される可能性がある場合などは、「摘要」欄を活用することも1つの有効な方法でしょう。

Q115

Q:重複投薬・相互作用等防止加算および在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、重複投薬や相互作用の防止だけでなく、患者の薬歴に基づいてアレルギー歴や副作用歴について処方医へ疑義照会を行い、処方変更が行われた場合にも算定対象となりますか。また、それ以外のケースはどうでしょうか。

A:重複投薬、相互作用、残薬のほか、「薬学的観点から必要と認める事項」に関する内容も対象となります。
 「薬学的観点から必要と認める事項」に該当する主なケースとしては、例えば過去の副作用やアレルギー歴に係る疑義照会などが挙げられますが、このほかにも算定対象として認められるケースはいくつか考えられます。
 処方医による単なる事務的な記載ミスに関する疑義照会は算定対象として想定されていませんが、薬剤師が「薬学的観点から必要」と認めた事項について疑義照会を行い、その結果として処方変更が行われたのであれば、算定対象になり得ると理解して差し支えありません。

Q116

Q:疑義照会により処方箋の内容に変更が生じると、病院から、変更後の内容を反映した新しい処方箋が発行され、変更前の処方箋と差し替えるように求められることがあります。その場合でも、薬歴に疑義照会の内容を記載し、レセプトにはその旨をコメントに入れておけば、重複投薬・相互作用等防止加算を算定することはできますか。

A:重複投薬・相互作用等防止加算は算定できますが、保険請求にあたっては、その根拠となる情報が不可欠です。
 処方箋による調剤の際に薬剤師が行う疑義照会や、それに係る処方医からの回答内容を処方箋および調剤録に記入することは、法令上、明確に義務付けられている行為です。さらに、保険調剤においては、患者の薬剤服用歴の記録(薬歴)にも記入しておかなければならないことになっています。
 変更内容を反映した新たな処方箋と当初の処方箋を差し替えてしまうと、調剤を行った保険薬局において疑義照会を行ったことの情報や記録(証拠)がなくなってしまいますので、保険請求上や法令上の問題が生じる可能性が考えられます。
 そのためにも、処方箋の差し替えは避けるべきですが、やむを得ず処方箋を差し替えなければならないということであれば、薬歴への記録だけでなく、保険請求におけるトラブル防止のためにも、疑義照会に関する情報が記入されている差し替え前の処方箋の写しを保存しておくなどの工夫が必要でしょう。ただし、調剤レセプトを提出する際に、処方箋の差し替えを行った旨のコメントを記入する必要はありません。

Q117

Q:内服薬が8種類30日分の処方箋の受付時に、患者から残薬があると申し出があり処方医に連絡したところ、5種類について処方日数が変更されました。また、飲み残しが多いので処方医と相談した結果、併せて一包化も行うことになりました。処方医から今回の調整内容を文書により別途提供してほしいとの依頼があったので、トレーシングレポートとして処方変更内容とともに患者の服薬状況に関する情報を提供しましたが、この場合、重複投薬・相互作用等防止加算と服薬情報等提供料を合わせて算定することはできますか。

A:算定できます。
 重複投薬・相互作用等防止加算は、調剤管理料の加算の1つで、併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む)や併用薬・飲食物等との相互作用などを防止するため。または残薬調整のために、処方医に疑義照会を行い。処方変更が行われた場合に算定します。
 また、服薬情報等提供料は、患者の服用薬や服薬状況に関する情報などを把掘し、処方医または患者に情報提供することにより、処方設計および服薬の継統・中断の判断の参考とするなど、医師と薬剤師の連携のもとで医薬品の適正使用の推進を目的とするものです。当該点数は現在、服薬情報等提供料1~3に整理されており、このうち服薬情報等提供料1は、処方医の求めにより、思者の服薬状況などに関する情報提供を行った場合のほか、患者の服用薬の残薬に関する情報、分割調剤時における服薬期間中の体調の変化などに関する情報、入院前の患者の服用薬に関する情報を提供した場合に算定するものです。
 前述の通り、重複投薬・相互作用等防止加算および服薬情報等提供料には、いずれも残薬にかかる対応は含まれていますが、評価されている内容はそれぞれ異なるものであり、そのため算定要件においても併算定は制限されていません。したがって、残薬調整にかかる処方日数の変更に対して重複投薬・相互作用等防止加算、患者の服薬状況などに関する処方医への情報提供に対して服薬情報等提供料1を合わせて算定することは可能です。

Q118

Q:調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算は、「残薬調整に係るもの以外」の場合として、次のケースが該当するとされています。
イ 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
口 併用薬、飲食物等との相互作用
ハ そのほか薬学的観点から必要と認める事項
処方医の単純な記載ミスに伴って処方変更が行われた場合は、ハの要件に該当しないのでしょうか。そのようなケースでも、薬剤師による薬学的視点がないと気付かない場合や、健康被害につながりかねないような事例の場合は該当すると思うのですが、具体的にどのような処方変更であれば算定対象として考えられるのですか。

A:薬剤師が「薬学的観点から必要と認める」疑義照会であり、その結果として処方変更が行われたのであれば、算定要件に該当するものと解釈できます。疑義照会および処方変更に至る背景や状況などを考慮せず、変更内容という結果だけをみて当該要件の適否を判断するのは難しいことから、具体的な処方内容を用いて事例を示すことは適切ではないでしょう。
 調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算は、①残薬調整に係るもの以外の場合(40点),②残薬調整に係るものの場合(20点)一について、それぞれ評価が設けられています。残薬調整以外の場合(①)は、「イ 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)」、「口 併用薬・飲食物などとの相互作用」、「ハ そのほか薬学的観点から必要と認める事項」のいずれかの内容について、処方医へ連絡・確認(疑義照会)を行い。かつ処方変更が行われた場合に算定することが可能です。
 このうち、薬剤師が「ハ そのほか薬学的観点から必要と認める事項」については、通知などにおいて具体的事例が示されているわけではありませんが、例えば承認内容とは異なる処方指示や、過去の副作用・アレルギー歴などに係る疑義照会が想定され、ほかにも該当するケースはいくつかあると考えられます。
 当該処方箋の調剤を行う薬剤師が、明らかに処方医による記載ミスであると認められるような場合には、「薬学的観点から必要と認める事項」とは言い難いことから、算定要件には該当しないものとして取り扱うべきでしょう。
 しかし、処方医による記載ミスかどうか見極めることが困難であるような場合には、処方医へ疑義照会を行った内容および結果をもとに、「薬学的観点から必要と認める事項」に該当するケースであるか否かについて検討したうえで、算定要件の適否を判断してください。

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