調剤後薬剤管理指導料の2024年算定要件をわかりやすく解説!

目次

早見表(2024年算定要件・薬歴・算定タイミング・レセプト摘要コメント)

調剤後薬剤管理指導料1
調剤後薬剤管理指導料2

算定要件の概要(2024年度)

算定要件

調剤後薬剤管理指導料
 1 糖尿病患者に対して行った場合 60点
 2 慢性心不全患者に対して行った場合 60点

1 区分番号00に掲げる調剤基本料の注5に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、1については糖尿病患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、2については心疾患による入院の経験がある患者であって、作用機序が異なる循環器官用薬等の複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全のものに対して、患者又はその家族等の求めがあり、保険薬剤師が必要性を認め、医師の了解を得た場合又は保険医療機関の求めがあった場合に当該患者の同意を得て、調剤後に次に掲げる業務等の全てを行った場合には、調剤後薬剤管理指導料として、月1回に限り算定できる。
 この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない
 イ 調剤後に当該薬剤の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について当該患者へ電話等により確認すること(当該調剤と同日に行う場合を除く。)。
 ロ 必要な薬学的管理及び指導を継続して実施すること。
 ハ 処方医へ必要な情報を文書により提供すること。

つかさ

フォローアップに関するの調剤報酬ですね。
心不全に対しては、入院歴の有無や、作用機序の異なる複数種類の治療薬が必要であったりと条件が多いので注意が必要です。

2 区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、区分番号00に掲げる調剤基本料の注6に規定する別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない。

つかさ

敷地内薬局は敷地内の医療機関への情報提供では算定できません。

3 区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。

つかさ

特別溶剤基本料Bを算定している保険薬局も算定できません。

実施上の留意事項

(1) 調剤後薬剤管理指導料の「1」は、新たに糖尿病用剤が処方等された患者に対し、薬物治療を適切に継続する観点から、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を受診中の保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。なお、
 当該指導料に係る薬剤の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない

つかさ

調剤を行った翌日以降に電話等でフォローアップをし、その内容を保健医療機関に情報提供を行うことで算定できる調剤報酬ですね。

(2) (1)の「新たに糖尿病用剤が処方等された患者」とは次のいずれかに該当する患者をいう。
 ア 新たに糖尿病用剤が処方された患者
 イ 糖尿病用剤の用法・用量の変更があった患者

つかさ

2024改定前はインスリン製剤またはスルフォニル尿素系製剤のみが対象でしたが、「糖尿病用剤」と範囲が広がりました。

(3) 調剤後薬剤管理指導料の「2」は、心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者に対し、薬物治療を適切に継続するとともに、特に入院歴を有する慢性心不全患者の再入院を抑制する観点から、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を受診中の保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。
 なお、当該指導料に係る薬剤の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない

つかさ

対象患者の条件が変わりますが、基本的な要件は1と同じですね。
ただ、より継続的なフォローアップが必要となります。

(4) (3)の「心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者」とは、日本循環器学会及び日本心不全学会が作成する最新の「急性・慢性心不全診療ガイドライン」等を参照し、複数の作用機序の異なる循環器疾患に係る治療薬の処方を受けている慢性心不全患者をいう。

(5) 調剤後薬剤管理指導料に係る電話等による当該治療薬の服薬状況の確認等は、以下のいずれかの場合に患者の同意を得て行うものであること。
 なお、電話等による確認方法については、電話の他に情報通信機器を用いた方法も含まれるが、患者等に一方的に情報発信すること(例えば、一律の内容の電子メールを一斉送信すること)のみでは、継続的服薬指導を実施したことにはならず、個々の患者の状況等に応じて必要な対応を行うこと。
 ア 保険医療機関からの求めがあった場合
 イ 患者若しくはその家族等の求めがあり、保険薬剤師が調剤後の薬剤管理指導を必要と認め医師の了解を得た場合

つかさ

電話だけでなく、LINEやメッセージ等のチャット機能を持つ会話のやり取りが行えるものならば、要件を満たします。
また、要件の前提として、アかイのどちらかを満たせばいいということですね。

(6) 調剤後薬剤管理指導料に係る調剤後の糖尿病又は慢性心不全の治療薬の服薬状況等の確認は、処方医等の求めに応じて実施するものであり、計画的な電話等による確認を原則とすること。
この場合において、あらかじめ患者等に対し、電話等を用いて確認することについて了承を得ること。

(7) 電話等による患者の糖尿病又は慢性心不全の治療薬の服薬状況等の確認を行った結果、速やかに保険医療機関に伝達すべき患者の服薬中の体調の変化等の情報を入手した場合は、当該情報を患者が受診中の保険医療機関に提供するとともに、必要に応じて保険医療機関への受診勧奨を行うこと。

(8) 医療機関への情報提供に当たっては、単に確認された服薬状況、副作用の状況を記載して情報提供するだけでなく、医療機関との連携の下で、処方医等の求めに応じた情報の収集と、薬学的分析及び評価に基づく情報提供を実施するとともに、必要に応じて処方に係る提案等を行うこと。
 この際、体重の増減、塩分摂取、飲水の状況など薬学的管理に密接に関係する情報も積極的に収集し、活用することが望ましい。
 また、医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有等により対応した場合には、処方提案等の行為を行った日時が記録され、必要に応じてこれらの内容を随時確認できることが望ましい。

つかさ

例として挙げられた体重の増減、塩分摂取、飲水の状況は、主に心不全のフォローアップについてですね。
補足に示す、フォローアップシートにも上記項目が記載されています。

(9) 調剤後薬剤管理指導料の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない

(10) 調剤後薬剤管理指導料は、特別調剤基本料Aを算定している保険薬局において、当該保険薬局と不動産取引等その他特別な関係を有している保険医療機関へ情報提供を行った場合は算定できない。

施設基準

地域支援体制加算を届け出ている保険薬局

補足

  • 調剤後薬剤管理加算から、調剤後薬剤管理指導料に格上げされた調剤報酬
  • 慢性心不全のフォローアップについては、社会医療法人誠光会淡海医療センターのものが有名です。
    フォローアップシートも配布をしてくれているので、参考としましょう
  • 調剤後薬剤管理指導料1と2は要件を満たせば同月にそれぞれを算定可能
  • SGLT2のように適応がどちらにもある場合、心不全のために処方されたものであれば調剤後薬剤管理指導料1を算定することはできない

同時算定(併算定)、算定回数(算定タイミング)について

他調剤報酬との併算定の可否は以下の通りです。

併算定-1
併算定-2
併算定-3

参照:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日

疑義解釈

疑義解釈(令和6年3月28日)

問 23 心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者に、新たに糖尿病用剤が処方等された場合に、それぞれの疾患に関して必要な薬学的管理指導等を行った場合に、調剤後薬剤管理指導料「1」及び「2」を同一月に算定可能か。

(答)それぞれの要件を満たせば算定可。ただし、単に慢性心不全の治療にも用いられることがある糖尿病剤が処方されているだけでは要件を満たしたことにはならないことに留意すること。

出典:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 令和6年3月28日

保険調剤Q&A(令和6年度版より一部抜粋)

該当項目なし。

原文(2024年算定要件・留意事項)

14の4 調剤後薬剤管理指導料
1 糖尿病患者に対して行った場合 60点
2 慢性心不全患者に対して行った場合 60点

注1 区分番号00に掲げる調剤基本料の注5に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、1については糖尿病患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、2については心疾患による入院の経験がある患者であって、作用機序が異なる循環器官用薬等の複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全のものに対して、患者又はその家族等の求めがあり、保険薬剤師が必要性を認め、医師の了解を得た場合又は保険医療機関の求めがあった場合に当該患者の同意を得て、調剤後に次に掲げる業務等の全てを行った場合には、調剤後薬剤管理指導料として、月1回に限り算定できる。この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。
 イ 調剤後に当該薬剤の服用に関し、その服用状況、副作用の有無等について当該患者へ電話等により確認すること(当該調剤と同日に行う場合を除く。)。
 ロ 必要な薬学的管理及び指導を継続して実施すること。
 ハ 処方医へ必要な情報を文書により提供すること。
2 区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、区分番号00に掲げる調剤基本料の注6に規定する別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない。
3 区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。

出典:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 厚生労働省告示第57号 別表第三調剤報酬点数表 厚生労働省 令和6年3月5日

十一の三 調剤後薬剤管理指導料に規定する厚生労働大臣が定めるもの 次のいずれかに該当するものであること。
(1)新たに糖尿病用剤が処方されたもの
(2)糖尿病用剤に係る投薬内容の変更が行われたもの

出典:特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件 厚生労働省告示第59号 厚生労働省 令和6年3月5日

区分14の4 調剤後薬剤管理指導料
(1) 調剤後薬剤管理指導料の「1」は、新たに糖尿病用剤が処方等された患者に対し、薬物治療を適切に継続する観点から、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を受診中の保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。なお、当該指導料に係る薬剤の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない。
(2) (1)の「新たに糖尿病用剤が処方等された患者」とは次のいずれかに該当する患者をいう。
 ア 新たに糖尿病用剤が処方された患者
 イ 糖尿病用剤の用法・用量の変更があった患者
(3) 調剤後薬剤管理指導料の「2」は、心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者に対し、薬物治療を適切に継続するとともに、特に入院歴を有する慢性心不全患者の再入院を抑制する観点から、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を受診中の保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。なお、当該指導料に係る薬剤の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない。
(4) (3)の「心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者」とは、日本循環器学会及び日本心不全学会が作成する最新の「急性・慢性心不全診療ガイドライン」等を参照し、複数の作用機序の異なる循環器疾患に係る治療薬の処方を受けている慢性心不全患者をいう。
(5) 調剤後薬剤管理指導料に係る電話等による当該治療薬の服薬状況の確認等は、以下のいずれかの場合に患者の同意を得て行うものであること。なお、電話等による確認方法については、電話の他に情報通信機器を用いた方法も含まれるが、患者等に一方的に情報発信すること(例えば、一律の内容の電子メールを一斉送信すること)のみでは、継続的服薬指導を実施したことにはならず、個々の患者の状況等に応じて必要な対応を行うこと。
 ア 保険医療機関からの求めがあった場合
 イ 患者若しくはその家族等の求めがあり、保険薬剤師が調剤後の薬剤管理指導を必要と認め、医師の了解を得た場合
(6) 調剤後薬剤管理指導料に係る調剤後の糖尿病又は慢性心不全の治療薬の服薬状況等の確認は、処方医等の求めに応じて実施するものであり、計画的な電話等による確認を原則とすること。この場合において、あらかじめ患者等に対し、電話等を用いて確認することについて了承を得ること。
(7) 電話等による患者の糖尿病又は慢性心不全の治療薬の服薬状況等の確認を行った結果、速やかに保険医療機関に伝達すべき患者の服薬中の体調の変化等の情報を入手した場合は、当該情報を患者が受診中の保険医療機関に提供するとともに、必要に応じて保険医療機関への受診勧奨を行うこと。
(8) 医療機関への情報提供に当たっては、単に確認された服薬状況、副作用の状況を記載して情報提供するだけでなく、医療機関との連携の下で、処方医等の求めに応じた情報の収集と、薬学的分析及び評価に基づく情報提供を実施するとともに、必要に応じて処方に係る提案等を行うこと。この際、体重の増減、塩分摂取、飲水の状況など、薬学的管理に密接に関係する情報も積極的に収集し、活用することが望ましい。また、医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有等により対応した場合には、処方提案等の行為を行った日時が記録され、必要に応じてこれらの内容を随時確認できることが望ましい。
(9) 調剤後薬剤管理指導料の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。
(10) 調剤後薬剤管理指導料は、特別調剤基本料Aを算定している保険薬局において、当該保険薬局と不動産取引等その他特別な関係を有している保険医療機関へ情報提供を行った場合は算定できない。

出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日

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