こんにちは。つかさです!
今回は服薬情報等提供料についての戦略記事です。
この調剤報酬は2012年度の改定で誕生した、能動的に取りに行く加算料の代表例ですね。
以前より地域支援体制加算の算定要件の一つとしても知られています。
既におなじみの調剤報酬となっていますが、基本中の基本ということもあり、記事にさせていただきました。
とはいえ、皆さんの中にもまだまだ
- どういう時に算定していいかわからない
- 忙しさからタイミングを逃してしまう
- 点数の割に手間で、やる気が出ない
このように感じている方も多いのではないでしょうか。
また、今までは地域支援体制加算の要件として、服薬情報等提供料2の患者さんに対する電話対応からの情報提供で算定数を稼いでいたところも多いのではないかと思います。
本改定より、この方法が封じられてしまい、焦っている店舗もあるのではないでしょうか。
この記事を読めば、
- 算定までの流れとパターン
- 具体的な算定例や報告書の例
- 算定方法のプロトコル化、効率化
を理解することができます。
そして、あなたも毎月10件以上算定が可能となります。
この記事を書いている私は、薬剤師歴18年。某薬局グループでエリアマネージャーをしております。担当12店舗全てにおいて月に10件以上の服薬情報等提供料の算定を果たすことができております。多いところでは月に200件以上のペースで算定できております。私個人も月に平均50~60件ほど算定していた経験もあります。
その過程で得たノウハウを、本日は皆さんに紹介したいと思います。
服薬情報等提供料1,2の算定要件
まずは軽くおさらいから始めましょう。
要件を満たすために必要なものとしては、以下が挙げられます。
より詳細に知りたい方はへ↓
服薬情報等提供料1
- 医院から患者の服薬情報の求めが必要
- 患者の同意を得る
- 文書で医院に情報提供
- 薬歴に必要項目を記載
服薬情報等提供料2イ・ロ・ハ
- 医師等に患者の服薬に関する情報提供が必要と判断
- 患者の同意を得る
- イ:医療機関(歯科含む)に対して、ロ:リフィル処方箋に基づくもの、ハ:ケアマネへの情報提供
- 薬歴に必要項目を記載
2024年度改定より患者や患者家族等に対してへの情報提供のみでは算定ができなくなったことには注意ですね。
補足
すべての例において、
- かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者
- 在宅医療を行っている患者(保険、介護どちらも)
は対象外であることに注意をしましょう。
ちなみに、服薬情報等提供料3についてはアプローチ方法が他2件と大きく違うため、本記事では解説対象外とさせていただきました。
それでは早速、算定方法を見ていきましょう!
算定数を増やす5つの方法
まずは前提として、この報酬は患者さんの特性にはあまり左右されません。
なので、あらかじめ対象患者を抽出するような対策はあまり効果的とは言えません。
それよりも、普段から該当事例が来た場合に取り逃さないように意識をしておくことや、事前にフォローアップ等の準備を行うことが大事となります。
- 服薬指導中の聞き取り
- 電話での問い合わせ
- 電話でのフォローアップ
など、このような場面で残薬、副作用、服薬状況、効果確認等、報告や提案ができることがないかを意識してみましょう。
具体的には、以下の方法があります。
1.来局時のチャンスを逃さない
基本中の基本ですね。
- 実は先生に言いづらいけど、漢方苦手で飲むのがきつくて……。
- 副作用の眠気が結構しんどくて……。
- 起床時の薬をつい飲み忘れることが多くて……。
このような聞き取りをした場合、疑義照会で変更提案もあり得ますが、時間がないので次回でいいという方もよくいます。
診察したばかりで、その際に伝えられなかったことが気まずいという理由で即時の疑義照会を拒む方もいらっしゃいますね。
緊急性がなければ、患者の許可を得てあらかじめ情報提供をしておくことで、次回診察時の参考となります。
他にも、
- OTCを購入された場合に、新たな併用薬として情報提供。
- 他院にて同効薬が処方されたことにより、定期薬の休止や中止の指示があった場合の情報提供
等々、レアケースも含めると様々なきっかけがあるかと思います。
2.電話の問い合わせのチャンスを逃さない
こちらも基本ですね。
薬局で業務を行っていると、以下のような電話対応をすることがあるかと思います。
- 副作用が出たとの報告
- 血圧上昇や頻脈等の状態変化の報告
- 飲み忘れや飲み間違い、過量服用の際の問い合わせ
この際に、(必要であれば受診勧奨をしつつ)医療機関に情報提供をするとよいでしょう。
他にも、患者家族や介護士等から、
- 実は薬を全く飲んでいない
- 生活が乱れていて服用タイミングがバラバラになっている
- 吸入器や注射剤などの外用薬を適切に使えていない
- 薬を飲まずに口の中にとどめて、あとで捨てているみたい
等の相談があった場合に、指導とともに提案内容も添えて情報提供するとよいですね。
思いもよらない相談を受けてびっくりすることって、意外とありますよね。(汗)
3.門前医療機関と連携をし、フォローアップ対象の薬を取り決めてフォローアップ報告
調剤後薬剤管理指導料のオリジナルバージョンですね。
もちろん調剤後薬剤管理指導料に該当する薬はそちらで算定したほうが点数的に良いです。
例えば脱感作療法薬、抗うつ薬、骨粗鬆症治療用自己注射、プロスタグランジン関連点眼液等、副作用の頻度が高いものや、手技に特別な注意が必要なものについてはその意義も高いと考えられます。
門前ドクターもこだわっている部分であることも多いため、意義も大きく、より良好な関係を築くきっかけにもなり得ます。
どの薬剤をフォローアップ対象と設定するのか、フォローアップ内容にはどのような項目が必要となるか等を事前に医療機関と打ち合わせを行う必要があります。
その代わり、このパターンでは服薬情報等提供料1を算定できるため、点数としても高めの30点で算定可能です。
門前クリニックとの日頃からの関係性が試されますね。
手っ取り早く数を稼ぎたいならば、実際のところこれが一番かと思っています。
4.他の加算を算定の際にも算定できる機会を逃さない
例えば、服用薬剤調整支援料1算定チャレンジの際には、服薬情報等提供料を算定可能です。ただし、服用薬剤調整支援料2を算定できる要件を満たせているならば、失敗した場合の保険として算定しないで置いたほうが良いです。
他にも、重複投薬・相互作用等防止加算や外来服薬支援料1の注2、麻薬管理加算、小児特定加算を算定した際に、文書で情報提供を行えば、服薬情報等提供料2の算定が可能です。
逆に併算定がNGなものもいくつかありますね。
以下のリンク先を参考にしてください。
併算定可否一覧表リンクへ
5.ケアマネージャーへの報告でも明確に算定可能となったことを活かす
新設された、服薬情報等提供料2のハですね。
元々疑義解釈では問題ないとされていましたが、今回明確に可能となりました。
外来の患者さんで、介護保険を持っている方が対象となります。
ケアマネージャーの連絡先等は患者さんが常備していることが多いので、連絡先の確保は簡単かと思います。
ここまでに確認をしてた1~4の内容は、医療機関だけでなく、ケアマネージャーに報告することでも算定可能であることは念頭においておきましょう。
むしろ双方に同じ内容で情報提供した場合も同時算定が可能であることは押さえておきたいポイントですね。
ケアマネージャーさんは薬情のみで診察の結果を知ることも多いです。
診察後、『〇〇が見つかったため、△△という薬が追加となりました。』といった情報を送るだけでも重宝されます。
特に使用に注意が必要な薬や副作用の出やすい薬など、積極的に情報提供を行っていきましょう。
医療機関以外の多職種との連携は、これからの薬剤師に求められる大きな役割の一つですね。
実際の算定例、流れ、報告書作成
ここからは実際の算定例を紹介しつつ、流れや報告書の内容について解説していきます。
算定例1:臨時で他院にかかったAさん
背景
いつも門前クリニックの定期受診で、毎月来局をしてくれる
60代女性 Aさん
既往歴:脳梗塞
定期薬:バイアスピリン、ランソプラゾール、アムロジピン、ロスバスタチン
経緯
あるとき、定期外で来局。
いつもの循環器内科とは違う消化器科の処方せんを持参。
内容としては、
タケキャブ錠20㎎ 1T
1日1回朝食後 14日分
聞き取りによると、胃の調子がここ数日急に悪くなり、キリキリ痛むようになったので受診したとのこと。
いつものかかりつけ医ではないところに受診したことについて、少し気が引けている様子。
通常通り服薬指導を行います。
より専門性の高い医療機関にかかることは特に悪いことではないことを伝えつつ、いつものかかりつけ医に今回の定期薬の変更を薬局からあらかじめ報告することを提案します。
許可を得た上で、以下の内容を文書で記載し、情報提供書を作成します。
使用している電子薬歴によってフォーマットが違いますので、それに沿って作成を行ってください。
以下に情報提供内容の箇所の記載例を記します。
このような記載を行った情報提供書を、FAXや直接クリニックに持参等で、情報提供を行います。
こういった情報提供を行うことで、
- 予めかかりつけ医に情報提供をすることで、次回診察がよりスムーズに行われる
- 患者さんの少し後ろめたい気持ちを緩和し、次回の受診に対する抵抗感を減らす
といった効果が期待できます。
近くにお住まいの患者さんによくあるパターンですね!
算定例2:フォローアップ対象のBさん
事前に門前眼科クリニックの院長と、キサラタン®点眼液0.005%のフォローアップを行うことについて、取り決めを行っておきます。
その際、フォローアップを行うまでの期間や、聞き取り内容についてしっかり詰めておきましょう。
期間については薬学的知見と処方医のお好みでいいかと思います。
聞き取り内容については、副作用確認・アドヒアランス・手技確認・保管状態・効果確認などを中心に提案すると良いでしょう。
背景
眼科検診の高眼圧で引っかかったため来院された
70代男性 Bさん
既往歴:高血圧症、脂質異常症
今回処方薬:キサラタン®点眼液0.005% 2.5 ml 1日1回1滴
服薬指導を行った際に、処方医との取り組みで、1週間後にフォローアップの電話をさせてもらうことを伝えます。
服薬指導の7日後、予定通りに電話にてフォローアップを敢行します。
聞き取った内容を文書で記載し、情報提供書を作成します。
以下に情報提供内容の記載例を記します。
このような記載を行った情報提供書を、FAXや直接クリニックに持参等で、情報提供を行います。
こういった情報提供を行うことで、
- 副作用が起きていた場合に早めに発見ができる
- 手技の間違いや保管方法の間違いなどにいち早く気づくことができる
- 患者さんに安心感を与えることができる
- 患者さんのアドヒアランスを保つことができる
- クリニックとの連携がより強固になる
といった効果が期待できます。
事前準備は少し大変ですが、その効果は絶大です!
算定例3:要介護状態のCさん
背景
足が重くてしびれて辛いとのことで、ご家族と来院された
80代男性 Cさん
既往歴:高血圧、めまい
生活:独居、飲酒あり(1日にビール1杯程度)
介護度:2(訪問看護師、介護士の定期訪問あり)
今回処方:タリージェ®錠2.5mg 2錠 分2朝・夕食後 14日分
このような高齢者のケースでは、タリージェ®錠2.5mgの服用開始によりめまいやふらつきが発生することで転倒リスクが上がることが予想されます。
また、飲酒もあることから、タリージェ®錠2.5mgとの併用により平衡機能の低下の危険性も考えられます。
今回付き添いのご家族はいらっしゃいますが、同居はしておらず、指導内容がどれほど正確に訪問看護師や介護士に伝えられるかわかりません。
そこで、本ケースではケアマネージャーに対しての情報提供が有用であると考えられます。
タリージェ®錠2.5mgの服用開始に対する注意事項や気を付けるべき副作用の情報提供を行います。
以下に情報提供内容の記載例を記します。
あらかじめケアマネージャーに連絡を入れ、挨拶をした上で情報提供書をFAXしましょう。
こういった情報提供を行うことで、
- 副作用が起きた場合に早めに対処ができる
- 大きな事故や怪我を未然に防ぐことができる
- チーム医療の一端として患者さんに貢献ができる
- ケアマネージャーとのつながりができる
- 在宅訪問に向けたきっかけとなる可能性がある
といった効果が期待できます。
実際私の担当店舗では、似たような背景からケアマネージャーより直接在宅訪問をお願いされたことがあります。
当時は服薬情報等提供料の算定をしておりませんでしたが、いいきっかけとなりました。
算定が厳しい店舗条件
存在しません。
おそらくどの科でも算定する機会は存在しますし、作れると思います。
算定のハードルが比較的低いのも、この報酬の特徴ですね。
ただ、地域支援体制加算1,2を算定したいならば、1年間に1万枚当たり30件と相当数求められます。
普段からしっかり意識をして算定できるパターンを押さえていくことが大事ですね。
まとめ
- 服薬情報等提供料は、2012年に誕生した最も基本的な能動的に取りに行く調剤報酬です。
- 地域支援体制加算の算定要件の一つ
- 算定数を増やす方法は以下の5つ
1.来局時のチャンスを逃さない
2.電話の問い合わせのチャンスを逃さない
3.門前医療機関と連携をし、フォローアップ対象の薬を取り決めてフォローアップ報告
4.他の加算を算定の際にも算定できる機会を逃さない
5.ケアマネージャーへの報告でも明確に算定可能となったことを活かす - 算定が難しい店舗はありません
- 機会を逃さず、自然に算定を行えるように普段から身に着けておくことがなによりも大事
いかがでしたでしょうか?
現在、服薬情報等提供料を算定したことがないという方は少なくなってきているかと思います。
しかし、本記事をみて、まだまだ取り逃していたと感じた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
様々な場面で、幅広い内容の算定機会がある調剤報酬だからこそ、意識をしていないと全く算定できずに見過ごし続けてしまいます。
地域支援体制加算で相当数求められることにも理由があります。
それは、服薬情報等提供料こそ、多職種との連携の第一歩となり得る、まさに原点にして頂点の報酬だからです。
日常業務にあたりまえに組み込まれた報酬として、普段から活用していきたいですね。
本記事を読むことで、皆さんの服薬情報等提供料に対する理解が深まったならば幸いです。
日常よりしっかり算定できる場面を意識していきましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
皆様の薬剤師ライフのお役に立てると嬉しいです!
それではまた、次回の記事でお会いしましょう!
執筆者:つかさ
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