こんにちは!つかさです!
10月1日から新たな仕組みである、「後発医薬品のある先発医薬品」(長期収載品)の選定療養が始まりますね。
選定療養という薬局業界では耳慣れない言葉も、ここ数か月でかなり馴染んできたように思います。
私自身、こんなに「選定療養」という言葉を使うことになるとは思っていませんでした。(笑)
しかし、実際にはこのように考えている方も多いのではないでしょうか?
- どういった仕組みなのかよくわからない
- 何から勉強すればいいのかわからない
- 具体的に何をすればいいのかわからない
- 始まったら何に気を付ければいいのかわからない
この記事では、これらの疑問に答えていきたいと思います。
要点早見表
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養とは
そもそも選定療養とは
まずは前提として、こちらの解説が必要かと思います。
選定療養とは、患者が追加費用を負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種です。
わかりやすい例で言うと、いわゆる「差額ベッド」ですね。
入院の際に、個室などの普通より条件の良い病室を希望をしたとします。
その場合、本来の入院にかかる保険適用分に加えて、室料にあたる差額分を自己負担することでそれが叶います。
簡単に言うと、保険医療を受ける中で、保険の範囲以上の贅沢をする場合は自己負担でお願いしますという制度ですね。
つまり、誤解を恐れず言えば、今回の長期収載品の選定療養導入は、
(医療上必要でない)先発医薬品を選ぶことは、通常の保険医療の範囲を超えた贅沢なので、その分は自己負担でまかないましょう。
という考え方になるかと思います。
国としては、それだけジェネリックをスタンダードな選択としたいということですかね。
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養とは
ここまでの説明通り、選定療養とは本来の保険の範囲を超えた保険適用外の医療サービスのことであり、今回の改定では、長期収載品の使用を選定療養の範囲に加えるということですね。
導入の目的としては、長期収載品の選択による国の負担金額の軽減と、後発医薬品使用率の上昇を期待していると考えられます。
制度の概要
令和6年10月から、あらかじめ定められた後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の処方・調剤において、患者が長期収載品を希望する場合、後発医薬品の最高価格帯の薬価との価格差の1/4相当が選定療養扱いとして特別の料金を払う必要がある。
ただし、長期収載品を処方・調剤する医療上の必要があると認められる場合や、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合は、選定療養の対象外となる。
令和6年10月以降は、好みで先発品を選ぶ人はある程度自己負担で払ってね。ということですね。
対象となる医薬品について
対象医薬品
基本的にはほとんどの後発医薬品のある先発医薬品が対象となります。(準先発含む、バイオ医薬品除く。)
厚生労働省の長期収載品の選定療養のページから一覧がダウンロードできるようになっています。
一覧pdfはこちら(随時更新あり)→https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001247591.pdf
後発医薬品のある先発医薬品の中で、対象外となる医薬品
以下の2点の条件が挙げられます。
- 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が 50%未満のもの
- 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えているもの
②については、よく処方されるものとして
- ロキソニンテープ50mg、100mg
- ロキソニン錠60mg
- クラビット錠250mg
- ホクナリンテープ0.5mg
が挙げられます。
対象外と知らずに特別な料金の説明をしてしまうことがあり得ます。
この3点はよく見ると思うので押さえておきたいところですね。
レセコン入力者は選定療養かどうかを入力時に確認できると思うので、上手く連携を組んでおきましょう!
選定療養対象外となるケース
医療上の必要があると認める場合
疑義解釈より、以下について医師が判断した場合が挙げられます。
- 添付文書上の効能・効果に差異がある場合(サムスカ等)
- その患者が後発を使用して副作用や治療効果の差があった場合
- ガイドライン上、先発医薬品が推奨されている場合(てんかん等)
- 飲みにくい、吸湿性から一包化できない等、先発医薬品を選択する必要がある場合(剤形の好みはNG)
また、薬剤師においては、
①~③に関しては懸念することがあるならば疑義照会を行う。
④に関しては疑義照会は要さず、薬剤師が単独で医療上の必要性を判断してもよい。ただし、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供する必要がある。
※いずれの場合においても、単に使用感などの有効成分等とは直接関係のない理由で医療上の必要性は認められない。
在庫状況から後発医薬品を提供することが困難な場合
こちらも疑義解釈にて以下のような回答が出ております。
「当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合」について、出荷停止、出荷調整等の安定供給に支障が生じている品目かどうかで判断するのではなく、あくまで、現に、当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品を提供することが困難かどうかで判断するということでよい
該当の医薬品の供給状況に依らないということですね。
例えば先発医薬品の在庫しかない医薬品であり、すぐにお渡ししたい医薬品である場面においては、後発医薬品の供給が困難であると言えるかと思います。
しかし、選定療養に関係なく療養担当規則により、患者の後発医薬品希望に沿った医薬品を用意することが努力義務とされていますので、継続のものを用意しないでいると個別指導では怒られるかと思います。
供給安定品については、どこまで在庫なしが通用するかはわかりません。
2回目以降の来局がある場合には今まで以上に後発医薬品をしっかり用意する必要がありそうですね。
処方箋様式の変更点
変更点は以下の画像の赤線部分となります。
新様式処方箋について
レ点もしくは×をつけられる箇所が2つに増えました。
先発品の銘柄指定を行う場合に、どちらの理由であるかがこの欄で分かるようになります。
変更不可(医療上必要)欄にチェックがある場合は選定療養対象外、患者希望欄にチェックがある場合は選定療養の対象となります。
どちらも✓されることは本来想定されないため、両方にレ点もしくは×がついている場合は疑義照会が必要です。
処方薬を記載する箇所が小さくなってしまいましたね。
10種類以上の薬が載った処方箋などは簡単に4枚以上となってしまいそうです。(汗)
旧様式の処方箋について
旧様式の処方箋は今後も使えます。
ただし、以下のことに注意が必要です。
- 変更不可の欄にレ点もしくは×がある場合、「医療上必要」の記載が必要です。なければ疑義照会案件。
- 患者の希望である場合は、処方薬の近傍に「患者希望」の記載をするなどで、医薬品ごとに当該判断が保険薬局に明確に伝わるようにすること。とされています。
疑義解釈にて、旧様式に対してこのような回答がありました。
勘違いした方も多かったようですが、新様式においては医療上必要であることの記載がすでにあるため、チェックのみで疑義照会は不要であることに注意です。
レセプトコメント
長期収載品について、選定療養の対象とはせずに、保険給付とする場合はレセプト摘要コメントが必要となります。
詳細は以下の通り。
参照:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(保医発0712第1号令和6年7月12日)
簡単に言うと、以下の3つの中から長期収載品を保険給付とした理由を選択する必要があります。
- 医療上の必要性があると医師又は歯科医師が判断したため(処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」の記載があった場合等)
- 剤形上の違いにより、長期収載品を調剤する必要があると薬剤師が判断したため
- 後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難なため
ちなみに医科の方では医療上必要である①~④の理由、もしくは在庫状況による理由を選択する必要があります。
公費等における取り扱いについて
選定療養はそもそもが医療保険であることを前提とした制度であるため、基本的には医療保険であるかどうかがポイントとなります。
保険医療+公費(自立支援医療、こども医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成等)
選定療養対象です。(疑義解釈より)
無料であったり、上限があるため先発医薬品を希望していた方も多いかと思います。トラブルにならないよう事前に説明が必要ですね。
生活保護
選定療養対象外です。
生活保護はいわゆる医療保険ではなく、医療扶助として医療が提供されています。
また、疑義解釈より、
前提として医療上の必要がある場合を除き、後発医薬品を使用しているはずで、そもそも長期収載品を使用していないはずである。
よって、対象となるケースは存在しない。
といった趣旨の回答がなされています。
現状長期収載品で調剤をしている強固な姿勢の生活保護の患者さんは存在するかと思います。そのような患者さんついては、説得を試みたり、処方医に医療上の必要性を確認する等の対策が必要となるかもしれません。
逆に言えば、調剤を事実上拒否できる裁定が出たとも言えます。
流れとしては、後発医薬品にて適切に調剤を行ったが、当該患者が受け取りを拒否した。という形ではありますが…。
自賠責
選定療養対象外と考えられます。(保険医療ではないため)
労災
選定療養対象です。
こちらも正確には保険医療ではありませんが、原則として健康保険医療に準拠するとされているためです。
また、厚生労働省より、通知も出されました。
(2 0 2 4 年 1 0 月 か ら の労 災 保 険 に お け る 医 薬 品 の 自 己 負 担 に つ い て~ 長 期 収 載 品 の 選 定 療 養 ~)
公害健康被害補償制度
選定療養対象外です。
こちらは各自治体(現時点で板橋区、大田区、名古屋市、横浜市)から通知が出ております。
他自治体も同じ対応となると考えられます。
特定薬剤管理指導料3のロの算定について
長期収載品の選定療養について、先発品を選択しようとする患者に説明を行った場合に算定できます。
算定要件
特定薬剤管理指導加算3 5点
調剤を行う医薬品を患者が選択するために必要な説明及び指導を行ったイ又はロに掲げる場合には、特定薬剤管理指導加算3として、患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限り、5点を所定点数に加算する。
イ 特に安全性に関する説明が必要な場合として当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合
ロ 調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合
(3) 「ロ」に示す「調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合」とは、以下のいずれかの場合をいう。
・後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合
・医薬品の供給の状況が安定していないため、調剤時に前回調剤された銘柄の必要な数量が確保できず、前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に対して説明を行った場合
詳細はこちらを参考↓
補足
この報酬は当該品目に関して最初に処方された1回に限り算定できます。
つまり、先発希望の方に対しては新たな後発医薬品のある先発医薬品が処方されるたびに算定できます。
個人に対しては一度限りではないので、算定忘れに注意しましょう。
こちらは意外と気づいていない方が多いイメージです。
計算方法
厚生労働省より通知されている計算方法は以下の通りです。
引用:長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について(事務連絡令和6年7月 12 日)
ザックリ説明をすると、以下の流れで計算ができます。
- 長期収載品を含む剤数を計算する。
- 剤ごとに、長期収載品の1日薬価合計を出す。
- その1日薬価合計と、最高薬価の合計との差額の1/4を計算する。
- 計算結果を5捨5超入で点数化する。(15円以下…1点、15.1円以上25円以下…2点、25.1円以上35円以下…3点)
- 点数×日数を、剤ごとに行う。
- 剤ごとの点数を合計し、出た点数の10倍をして円に直し、消費税率1.1倍をすることで特別な料金が算出されます。
薬価比較や差額については厚生労働省の出している長期詳細品の一覧表で確認できますので、ぜひ活用をしましょう。
特別の料金の計算例としては、
Rp.1 ノルバスクOD錠5㎎ 1錠
サムスカOD錠7.5㎎ 1錠
1日1回朝食後 14日分
Rp.2 クレストール錠2.5㎎ 3錠
1日1回夕食後 14日分
という処方があった場合、
①剤数は朝食後と夕食後の2つですね。
②③
1つ目朝食後の剤において、ノルバスクとサムスカの1日当たりの後発品最高薬価との差額の1/4の合計が1.28+101.7=102.98円となります。
2つ目夕食後の剤において、クレストールの1日当たりの後発品最高薬価との差額の1/4が2.48×3=7.44円となります。
④1つ目朝食後の剤において、102.98円を5捨5超入で点数化すると、10点と計算されます。
2つ目夕食後の剤において、7.44円を5捨5超入で点数化すると、1点と計算されます。
⑤1つ目朝食後の剤において、日数と掛け合わせると10×14で140点と計算されます。
2つ目夕食後の剤において、日数と掛け合わせると1×14で14点と計算されます。
⑥それぞれの剤の点数を合計し、円換算をすると(140+14)×10×1.1=1694円となります。
このように流れで、1694円が特別な料金として算出されます。
今後はレセコンにて実際に領収書を出すことができるので、手計算はあまり必要がなくなります。
聞かれたときのために軽く頭に入れておくといいでしょう。
薬局でやること、注意すること
やること
ポスターの掲示
「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」において、「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならない」とされています。
厚生労働省の公式HPに掲示用ポスターが配布されているので、こちらを活用しましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
ポスターの掲示はマストになりますので忘れないようにしましょう!
業務において注意すること
- 9月以前に発行された処方箋(リフィル・分割調剤含む)は選定療養対象外
- 別立てで領収書が発行される可能性があるので、その場合はお金の領収し忘れに注意
- 旧様式の処方箋の場合には、変更不可欄に「レ」または「×」のみの記載は疑義照会が必要
(医療上必要等のコメントがあれば可) - レジ打ち等の処理についてグループ内で決めておく必要あり(税理士がいる場合は要相談)
- 長期収載品を選定療養対象外で処理した場合、レセプト摘要コメントが必要(自動で入るレセコンもあり)
疑義解釈
疑義解釈(令和6年9月26日)
【入院中の患者以外の患者に対する注射について】
問1 「「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について」(令和6年
3月 27 日保医発 0327 第 10 号)において、「別表第一区分番号C200に掲げる薬剤」、「別表第一区分番号G100に掲げる薬剤」及び「別表第二区分番号G100に掲げる薬剤」が選定療養の対象となるとされているが、入院中の患者以外の患者(往診又は訪問診療を行った患者も含む)に対して医療機関が注射を行った場合も、長期収載品の選定療養の対象となるのか。
(答)長期収載品の選定療養の対象とはならない。
なお、在宅自己注射を処方した場合については、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年7月 12 日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「疑義解釈その1」という。)問9に記載するとおり、長期収載品の選定療養の対象となる。
【医療上の必要性について】
問2 疑義解釈その1問1の②において、「当該患者が後発医薬品を使用した際に」とあるが、後発医薬品の添付文書において、当該患者への投与が禁忌とされている場合も、実際に当該患者に使用したうえで判断する必要があるのか。
(答)後発医薬品の添付文書において禁忌とされている患者に対しては、当該後発医薬品を使用したうえで判断する必要はなく、この場合は疑義解釈その1問1の②に該当するとみなして差し支えない。
問3 複数の医薬品を混合する際、後発医薬品を用いると配合変化により薬剤が分離する場合であって、長期収載品を用いることにより配合変化が回避できるときは、医療上の必要性があると認められるか。
(答)疑義解釈その1問1の④に該当するため、医療上の必要性があると認めら
れる。
疑義解釈(令和6年8月21日)
【処方箋の記載について】
問1 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がついた場合、保険薬局においてはどのような取扱いになるか。
(答)「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がつくことは、通常は想定されず、医療機関のシステムにおいても双方に「✓」又は「×」を入力することはできないと考えられるが、仮にそのような場合があれば、保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
なお、医療機関では、「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月 27 日保医発 0327 第 11 号)において、「「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を記載した場合においては、「患者希望」欄には「✓」又は「×」は記載しないこと。」としているところであり、医療上の必要性がある場合は、「変更不可(医療上必要)」欄にのみ「✓」又は「×」を記載すること。
問2 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答)そのとおり。
問3 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に 2 回目以降の調剤のためにリフィル処方箋や分割指示のある処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答)そのとおり。
問4 令和6年 10 月1日以降に旧様式の処方箋で処方された長期収載品であって、後発品変更不可にチェックがあるものの、理由について記載がされていないものについてどう扱えばよいか。
(答)保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
問5 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成 18 年厚生労働省告示第 107 号)第三の十四(三)において、「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収
その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする。」とされているが、掲示内容について参考にするものはあるか。
(答)院内及びウェブサイトに掲示する内容については、以下の URL に示すポスターを参考にされたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
【診療報酬明細書の記載について】
問6 医事会計システムの電算化が行われていないものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関及び保険薬局については、薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が 175 円以下の場合は、薬剤名、投与量等を記載する必要はないとされているが、医療上の必要性等により長期収載品を処方等又は調剤した場合の理由は記載が必要となるのか。
(答)記載不要。
【公費負担医療について】
問7 生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合は、どのように取り扱うことになるのか。
(答)【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合】
「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和 34 年厚生省告示第 125 号)第2に基づき、生活保護受給者については、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないとしている。
このため、生活保護受給者である患者が、医療上必要があると認められないにもかかわらず、単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため、生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)第 34 条第3項に基づき、後発医薬品処方等又は調剤を行うこととなる。
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合】
長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象となる。
問8 生活保護受給者である患者が、単にその嗜好から長期収載品を選択した場合、「特別の料金」を徴収するのか。
(答)生活保護受給者である患者について、医療上の必要性があると認められず、かつ、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は、長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため、当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤することとなる。そのため、「特別の料金」を徴収するケースは生じない。
疑義解釈(令和6年7月12日)
【医療上の必要性について】
問1 医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるのか。
(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。
① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
(※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
PMDAの添付文書検索サイト:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」:https://www.jga.gr.jp/2023/09/14/230914_effectiveness.pdf
② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。
また、保険薬局の薬剤師においては、
・ ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられ、
・ また、④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられる。なお、この場合においても、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。
問2 治療ガイドライン上で後発医薬品に切り替えないことが推奨されている場合については、長期収載品を使うことについて、医療上の必要性が認められるということでよいか。例えば、てんかん診療ガイドライン 2018(一般社団法人日本神経学会)では、「後発医薬品への切り替えに関して,発作が抑制されている患者では,服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する.」、「先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない.しかし,一部の患者で,先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し,発作再発,発作の悪化,副作用の出現が報告されている」とされているところ、この場合に医療上の必要性は認められるか。
(答)医師等が問1の③に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。
問3 使用感など、有効成分等と直接関係のない理由で、長期収載品の医療上の必要性を認めることは可能か。
(答)基本的には使用感などについては医療上の必要性としては想定していない。
なお、医師等が問1の①~④に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。
【薬局における医療上の必要性の判断について】
問4 「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月 27 日保医発0327 第 11 号)の「第1 処方箋様式に関する事項」の「3 長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について」の(4)において、「処方の段階では後発医薬品も使用可能としていたが、保険薬局の薬剤師において、患者が服用しにくい剤形である、長期収載品と後発医薬品で効能・効果の差異がある等、後発医薬品では適切な服用等が困難であり、長期収載品を服用すべきと判断した場合には、医療上必要がある場合に該当し、保険給付とすることも想定されること。」とあるが、このような場合には処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の上記判断に基づいて、従来通りの保険給付が可能という理解でよいか。
また、医師等が後発医薬品を銘柄名処方した場合であって、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、長期収載品を調剤する医療上の必要があると考えられる場合は、処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の判断で従来通りの保険給付は可能か。
(答)それぞれの場合について、考え方は次のとおりである。
○ 医師等が長期収載品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合
・ 医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなる。
○ 医師等が後発医薬品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合に、薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合
・ 変更調剤に該当するところ、「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」(令和6年3月 15 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、当面の間、疑義照会なく、変更調剤できることとしている。
・ その上で、医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなる。
【一般名処方について】
問5 「長期収載品の処方等又は調剤について」の「第 1 処方箋様式に関する事項」の「4 一般名処方する場合における取扱について」の(2)において「一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となること。」とあるが、一般名処方された患者が薬局で長期収載品を希望し、薬剤師がその理由を聴取した際に、患者希望ではあるものの、患者の疾病に関し、長期収載品と後発医薬品における効能・効果等の違いがある等の医療上の理由と考えられる場合には、保険薬局の判断で従来通りの保険給付とすることは可能か。
(答)問1の後段に記載する通り。
【院内処方その他の処方について】
問6 院内処方用の処方箋がない医療機関において「医療上の必要性」により長期収載品を院内処方して保険給付する場合、単に医師等がその旨の判断をすれば足りるのか。あるいは「医療上の必要性」について、何らかの記録の作成・保存が必要なのか。
(答)診療報酬を請求する際に、「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について」(令和6年7月 12 日保医発 0712 第1号)の別表Ⅰを踏まえ、診療報酬請求書等の「摘要」欄に理由を選択して記載すること。
問7 院内採用品に後発医薬品がない場合は、「後発医薬品を提供することが困難な場合」に該当すると考えて保険給付してよいか。
(答)患者が後発医薬品を選択することが出来ないため、従来通りの保険給付として差し支えない。
なお、後発医薬品の使用促進は重要であり、外来後発医薬品使用体制加算等を設けているところ、後発医薬品も院内処方できるようにすることが望ましい。
問8 長期収載品の選定療養について、入院は対象外とされているが、入院期間中であって、退院間際に処方するいわゆる「退院時処方」については、選定療養の対象となるのか。
(答)留意事項通知において「退院時の投薬については、服用の日の如何にかかわらず入院患者に対する投薬として扱う」とされているところであり、入院と同様に取り扱う。
問9 在宅医療において、在宅自己注射を処方した場合も対象となるか。
(答)そのとおり。
【後発医薬品を提供することが困難な場合について】
問 10 「当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合」について、出荷停止、出荷調整等の安定供給に支障が生じている品目かどうかで判断するのではなく、あくまで、現に、当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品を提供することが困難かどうかで判断するということでよいか。
(答)そのとおり。
【公費負担医療について】
問 11 医療保険に加入している患者であって、かつ、国の公費負担医療制度により一部負担金が助成等されている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。
(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。
問 12 医療保険に加入している患者であって、かつ、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。
(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今
般、対象外の者は設けておらず、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療が対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。
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