一歩踏み込んだ「医薬品在庫管理」の解説~医薬品の欠品対応編~

医薬品の欠品対応編

こんにちは!つかさです。

今回は薬局の中でも少し嫌な業務の一つである、「医薬品の欠品対応」について分析・解説をしてみたいと思います。

つかさ

できれば欠品を起こさずにすむに越したことは無いですが、薬の種類はたくさんあるのですべて在庫で対応するのは現実的ではありませんね。

欠品対応は薬局薬剤師においては一般的な業務の一つですね。
一度も行ったことがないという方は少ないかと思います。

特に最近は出荷調整品目が多く、日々頭を悩ませる方もたくさんいるでしょう。

例えば、欠品対応の際、このように考えたことはないでしょうか?

  • 医薬品の欠品を起こした場合には、どのような対応方法があるのか?
  • 医薬品の欠品を起こしたときに、薬局の責任はどれくらいで、どれほど頑張るべきなのか?
  • 医薬品の欠品対応について、法的な規定はあるの?
  • 医薬品の欠品を起こした際の考え方・フローチャートのようなものはないのか?

欠品対応はいざその場面となると、どのように対応することが一番正解であるかの判断が意外と難しいことも多いと思います。
薬の種類、発行元、患者宅の位置、緊急度や重要度等、様々な要素が絡むからです。

つかさ

後から振り返ると、「もう少し上手くやれたな。」と思うことも多いのではないでしょうか?
私はそういったことがよくありました。

この記事を読むことで、以下のことが可能となります。

  • 欠品対応の手段を網羅することができます
  • 欠品を起こした際に、法的に薬局としてやらなければならないこと、道義的にやった方がいいこと、経営的にやった方がいいことがわかります
  • 実際に欠品が起きた際の考え方やフローがわかります

欠品対応は単純に見えて、能力やセンスの差が如実に表れるものであると私は考えています。

何故かというと、基本的に「ケース・バイ・ケース」だからです。

だからこそ、そこで柔軟性のある対応ができるかによって、提供できる医療の質や、患者満足度に意外と大きく差がつくこととなります。

出荷調整で欠品が多い今こそ、一度おさらいの意味も込めて一緒に勉強をしていきましょう!

つかさ

本記事内容については、そもそも会社で細かい規定がある場合はそれに従うことが前提となるでしょう。
また、考え方や責任の所在については私の環境や経験則による独断と偏見も存分に入ってはいますので、それを加味した上で参考としていただければと思います。

このページを作成している私は、薬剤師歴18年、投資歴7年、ファイナンシャルプランナー。
某薬局グループでエリアマネージャー兼、法令室室長をしております。
私自身も複数店舗の管理薬剤師経験があり、現在は12店舗の管理薬剤師を束ねる役割を任されています。
本記事では、これまでに得られた知見を皆さんに共有したいと思います。

目次

医薬品の欠品対応について一般的な概要

そもそも医薬品の欠品対応とは

おそらくわからないという方はいないかと思いますが、一応説明をしておきます。

今回のテーマである「医薬品の欠品」とは、処方箋を受付けた際に、その処方箋に記載されている医薬品の在庫が不足している状態を指します。

処方箋が発行されている限り、その医薬品はその患者さんに必要と判断されたものです。
必要なタイミングまでにそれが手元に渡らなければ、患者さんに不利益が生じるでしょう。

処方箋を応需した限りは、欠品によるその患者さんへの影響を最小限に抑え、迅速かつ適切な対応が求められます。

医薬品の欠品対応について、法的な規定はあるのか?

これについては、「一定の規定がある」という回答となります。

まず一つは、皆さんご存じ薬局における応需義務(薬剤師法第21条)です。

薬剤師法
(調剤の求めに応ずる義務)
第21条 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

つまり、正当な理由がない限りは薬剤師は調剤を求められた場合に拒否することはできないということです。
では「正当な理由」とはどういったものか。
それには、薬局業務運営ガイドライン(厚生省薬務局長通知 平成5年4月30日 薬発第408号)が参考として挙げられます。

薬局業務運営ガイドライン(厚生省薬務局長通知 平成5年4月30日 薬発第408号)に挙げられる例

ア 処方せんの内容に疑義があるが処方医師(又は医療機関)に連絡がつかず、疑義照会できない場合。但し、当該処方せんの患者がその薬局の近隣の患者の場合は処方せんを預かり、後刻処方医師に疑義照会して調剤すること。
イ 冠婚葬祭、急病等で薬剤師が不在の場合。
ウ 患者の症状等から早急に調剤薬を交付する必要があるが、医薬品の調達に時間を要する場合。但し、この場合は即時調剤可能な薬局を責任をもって紹介すること。
エ 災害、事故等により、物理的に調剤が不可能な場合。

欠品に関係があるものは、この中では「ウ」が該当するかと思います。
ここから読み解けることは、以下の2点です。

  • 調達が時間的に間に合う限りは、調剤薬を用意をする必要があること
  • 上記の調達が可能でない場合、他薬局の紹介を行うこと

保険調剤薬局の保険薬剤師として働いているならば、上記2点の対応は最低限行う必要があると示されています。

つかさ

ただし、あくまでこれら4つが例として挙げられているだけであるので、逆説的な事例が必ずしも真となるわけではありません。
個別の事例ごとに「正当であるかどうか」の判断をしなければならないことは前提としておきましょう。

該当の薬が無いからと門前払いをする薬局もあると聞きますが、それは薬剤師法の応需義務違反に抵触している可能性があるということになります。

路頭に迷う患者さんが出ないようにやれることをやっていきたいですね。

医薬品の欠品対応の方法一覧

対応の流れにおいては、主に以下の2つの種類に分かれます。

  • 薬の変更提案を行い、変更した医薬品をお渡しする
  • 薬の手配をし、即時もしくは後日お渡しする

本項では、上記フローの中の薬の変更提案方法、薬の手配方法についてそれぞれ解説をしていきます。

薬の変更提案

規格外、剤形違い、メーカー違い(先発含む)で対応できないか確認する

一番最初に検討するのはこちらの方法になることが多いでしょう。

例えば、一般名カルボシステイン錠500mgの処方でいつも服用中のカルボシステイン錠500mg「トーワ」が欠品をした場合、次のような代替案が考えられます。

カルボシステイン錠250㎎「トーワ」×2錠
ムコダイン錠500㎎×1錠
ムコダイン錠250㎎×2錠 ※疑義照会が必要
カルボシステインDS50% 1g ※疑義照会が必要
カルボシステインシロップ5% 10ml ※疑義照会が必要

つかさ

同じ成分のため、患者さんとしても処方医としても受け入れやすいです。
最も手始めに検討される方法でしょう。
ただし、散剤が苦手であったり、OD錠である意味があったりと変更が難しいこともあるため、しっかり確認を行う必要があります。

疑義照会にて、代替品への変更を提案

薬によっては、同種同効薬等の代替品で変更可能と判断されるものもあるかと思います。

例えば、以下のような変更です。

セフジトレンピボキシル錠100mg→セフカペンピボキシル錠100mg
ミヤBM錠→ビオスリー配合錠
ベザフィブラートSR錠200㎎ 2T→フェノフィブラート錠80mg 1T

基本的には最終手段であることが多いですが、最近では出荷調整品が増えたことで、こちらの手段を取ることも少なくありません。
欠品した医薬品の次回納品日が未定であったり、他店舗にも在庫が全く確認できない場合も多々あります。
そういった場合には変更提案が優先的に行われます。

つかさ

過去の出荷調整がほとんど無かった頃は、あまり敢えてはとられない手法であったと思います。
今では提案を受け入れてくれるクリニックもかなり増えました。

また、門前薬局である場合は処方内容にある程度融通を利かせやすいため、初めからこの方法が活躍する場面も多いでしょう。

薬の手配方法

卸業者より購入

最もスタンダードな手段ですね。
手配の労力としては最小限に抑えられる場合が多いかと思います。

メリット・比較的安価で購入可能
・取りに行く手間が無い
・手配や金銭のやり取りが簡便
・幅広い種類の医薬品が手に入る
・トラブルが少ない
デメリット・基本包装単位ごとで購入する必要がある
・手配までの時間が卸業者依存で、翌日以降となることも多い
・最速でも患者さんに待っていてもらえる時間内での手配は難しい

近隣薬局より購入

こちらも使用頻度が高い薬局が多いかと思います。
徒歩や自転車ですぐに行き来できる範囲にあるならばお互い重宝していることでしょう。

メリット・すぐに手に入るので、患者さんをあまり待たせずに済む
・お互いが慣れていれば対応が早い
・近隣医療機関の薬を所持している可能性が高い(互いの門前クリニックの採用薬等)
・必要数ぴったりで購入も可能
デメリット・金銭のやり取りや受け渡し数量等のトラブルとなることもある
・地域によるが、基本薬価購入のため薬価差が出ない
・遠くの医療機関の薬は所持していない可能性が高い

グループ薬局より購入

グループ薬局を頼れる場合はこちらですね。
グループによっては他店の在庫を確認できるシステムを導入していることも多いかと思います。

メリット・必要数ぴったりで購入が可能
・距離によるが、その日に手に入ることも可能
・同じ会社間なので、トラブルが少ない
・出荷調整品でも交渉をしやすい
・店舗内で在庫が確認できるシステムがある場合もある
・仕入れ値で購入が可能である
デメリット・患者さんに待っていてもらうには少し時間がかかることが多い
・距離や立地によっては届くまで時間が数日単位でかかることもある
・配送手段においては、どちらかの店舗の人員か郵送代コストを支払うがある

薬のお渡し方法

欠品した薬をお渡しする際にも、いくつかパターンがあります。
これらについてもその特徴を掴んでおきましょう。

その場で待ってもらい、準備出来次第お渡し

基本的には、患者さんに待つ時間があることと、すぐに手配できる算段があることが前提となります。
ただし、そもそも手配を急ぐ必要が無い場合には敢えて選択しないこともあるかと思います。

患者さんの負担★★☆☆☆ (待ち時間次第)
使う場面・近隣医療機関や最寄りのグループ薬局から購入等、即時手配が出来る場合
・患者さんに時間的余裕がある場合
・ドラッグストアなど、買い物をしながら敷地内で時間を潰せる場合
特徴患者さんにその場で薬をお渡しすることができ、早急に完結できるためお互い気持ち的には楽です。
待ち時間次第となりますので、想定必要時間は予め伝えておきましょう。
ただし、すぐに薬が手に入らない場合や、患者さんに待つ時間が無い場合は使えない手法となります。
近所に住んでいるなど、わざわざ待つ理由が患者さん側にないこともあるため、患者背景も踏まえて相談をしましょう。

一度帰宅をしてもらい、再度来局

自宅の近い方や、職場が近い方などはこの方法を取るとよいでしょう。
ただし、緊急性が高い場面においては少し悠長な方法ではあります。

患者さんの負担★★★★☆
使う場面・患者さんの生活圏に薬局がある場合
・あまり緊急性が高くない場合
・再度来局の予定があり、その日まで間に合う場合
特徴相手に取りに来てもらうということは、その分の労力を強いることになります。
こちらから積極的に提案するにと心象が悪くなる可能性があるため注意しましょう。
ただ、「家に来られたくない」「ちょうど通り道にある」「他の用事で来る予定がある」等の利害が一致する場合はこの方法が選択しやすいです。
実際話し合った結果、この方法になることも多いでしょう。

一度帰宅してもらい、自宅に郵送

服用時点までに大きく猶予がある場合や、部分的に薬を渡すことが出来た場合はこの方法を取ることができます。
郵送を使うと持ち運びの労力はかかりませんが、時間と費用がは相応にかかります。

患者さんの負担★★☆☆☆(薬局支払いの場合)、★★★★★(患者さん負担の場合)
使う場面・患者さんの自宅が遠い場合
・部分的に薬を渡すことが出来た場合
・あまり緊急性が高くない場合
・郵送の期日を逆算し、間に合うことが確認できた場合
特徴明らかな患者都合の場合以外は、基本薬局支払いとなるでしょう。
逆に帰宅後に「やっぱり〇〇も欲しかった。」といった患者都合で疑義照会をした場合等は患者さん負担もあり得ます。(この行為自体グレーですが)
郵送方法にもよりますが、相応の費用コストがかかります。(例:レターパックライト430円)
その代わり、人的労力は少な目に抑えられるといったメリットもあります。
対面受け取りが必要であると、面倒に思われることもあります。
また、普通郵便であれば発送から到着までおそらく2日間はかかること、まれにそれ以上にかかることもあるなど確実性に乏しい面もあります。

一度帰宅してもらい、手配出来てから患者宅にお届け

その場では手配ができず、郵送では間に合わない場合にこの方法を使うことがあるでしょう。
物理的な時間と労力を支払うことになるので、本来ならば薬局側に負担が大きい方法です。

患者さんの負担★☆☆☆☆
使う場面・待ってもらえるほどすぐには用意できないが、早めに薬を渡す必要がある場合
・待ってもらえるほどすぐには用意できず、患者さんに負担をかけるのは憚られる場合
・患者さんが再度来局するには難しく、郵送では間に合わない場合
・薬局から近く、すぐに持っていくことが可能な場合
・在宅や銀行(入金や両替用)、帰宅の動線にある場合
・薬の分譲をお願いした店舗からの帰りに寄ることが可能な場合
特徴当日や明日の日中までに必要など、ほどほどに期限が差し迫っている場合に使われます。
また、インフルエンザなどの急性症状で苦しんでいる患者さんは再度取りに来ることも難しいため、この方法となることも多いでしょう。
患家の位置関係から、薬剤師や医療事務の業務の動線上にある場合等に上手く寄り道をすることも検討の余地があります。
上手くかみ合えば、薬局に無駄なく患者さんの負担もなくお届けすることも可能な方法です。
つかさ

薬のお渡しについては、一度患者さんの帰宅を挟む限り「郵送代」か「移動の労力」のどちらかは必要となります。
どちらが負担するかについては悩ましい場面もあるかと思います。
それについては次項で説明をしていきます。

患者さん目線の「仕方ない度」と、お渡し方法の決定の仕方について

医薬品の欠品に対して、法的な規定は前述の通りです。
なので、そこまでを行うことは一旦最低限の前提とさせていただきます。

ここからは更に一歩踏み込んで、欠品対応の際に薬局としてどのようなお渡し方法を選択すると良いか、どのようにすれば患者満足度を上げることができるかを考えてみます。

つかさ

欠品した薬のお渡し方法に関して、会社において決められた方法がある場合はもちろんそちらに準じると良いでしょう。

患者側からの「仕方ない度」の把握

そのための考え方として、まず、以下の図を見てください。

欠品の仕方ない度

この図は、医薬品が欠品していると伝えられた際の、患者さん側からの「薬が無くても仕方ないと思えるかレベル」を表しています。

つかさ

「仕方ない度」は私が勝手に作った言葉です。
各事例の「仕方ない度」は完全に私の感覚で決めています。

お渡し方法の決定において、この「仕方ない度」の把握が重要となってきます。

例えばですが、あなたはクリニックで処方箋を受け取り、門前の薬局を利用したとしましょう。
処方内容としては、急性症状に対する薬で、おそらくそのクリニックの診療科のスタンダードなものです。
薬を受け取る際に、薬局から「この処方箋の中のこの薬は今在庫がない状態です。」と言われた場合、まず「なんで?」となるかと思います。

近くの薬局なのだから、当然連携をしておりスムーズに受け取れるであろうことを想定しているからです。

とはいえ、タイミングが悪ければそういうこともあり得るでしょう。

しかし、もしこの際に、
薬剤師「明日には届くから、明日の午後以降にまた来て欲しい。」とか
薬剤師「卸に電話が繋がらないからいつ来るかわからない。届き次第郵送しますが郵送代の負担をお願いします。」
なんて言われると、
「いやいや、そもそも在庫用意してないのがおかしいんとちゃうんかい!なんでそれでこっちが苦労せにゃならんねん!?」
といった感想を抱く人が多いのではないでしょうか?

つかさ

私の言葉ではなく、あくまで一般的な感想ですよ。

このように、患者さん目線での「仕方ない度」と、薬局側の負担感覚が剥離していると、患者満足度を大きく下げることに繋がります。

逆に言うと、「仕方ない度」を正確に把握した上で欠品対応内容を検討することで、スムーズにお渡し方法を決定することができるでしょう。

どのようにお渡し方法を選択すればよいか

実際のところ、私の知る限り欠品した医薬品の渡し方に法的な決まりはありません。
ですので、基本は患者さんと話し合った上で決める必要があります。

単純なその場の利益の面だけで考えるならば、患者さん側に労力にしろ郵送代にしろ負担をしてもらうと良いです。

しかし、それでは患者満足度が落ちてしまい、次回の来局が無くなってしまうこともあり得ます。
それでは総合的に利益を取れたとは言えませんね。

つかさ

患者さんあっての薬局なので、来なくなってしまっては元も子もありません。

ここで考慮すべきは、ここまでにお伝えした2点。

  • お渡し方法の与える患者さんへの負担
  • 患者さんのから見る「仕方ない度」

これらを前提に、表にすると以下の通りです。

患者さん目線の「仕方ない度」お渡し方法の提案例
低い(仕方なくない)基本的には急いで手配&お届け対応が第一選択となります。
ただ、あまり緊急度が高くない場合は患者さんが良いならば郵送対応(薬局負担)とさせてもらっても良いでしょう。
取りに来てもらう方法は患者さんの都合が良ければよいですが、こちらから積極的に提案をすることは控える方が無難です。
中ぐらい特にどちらとも言えない場合は、幅広い選択肢を持つことが肝要です。
患者さんと相談をし、ベターな選択肢を模索するとよいでしょう。
高い(仕方ない)患者さん側からも申し訳ないという気持ちがある場合が多いため、どのお渡し方法も提案可能です。
納品期日を伝え、それ以降に来局いただくことを提案してもよいでしょう。
逆に、こういう場面により手厚いサービスをすることで好印象となり、長く利用する患者となってくれることもあります。
戦略的に、こちらからより親切な対応を行う手もありでしょう。
ただし、それを当たり前とする「モンスター患者」も存在はしますので、相手選びにはご注意を。

医薬品欠品対応のフローチャート

ここまでを踏まえ、実際に医薬品欠品が起きた場合の対応フローチャートを作成しましたので紹介したいと思います。

出来る管理薬剤師のフローチャート

出来る管理薬剤師のフローチャート

出来る管理薬剤師は、患者さんの意思や背景を汲んだ上で、医療機関や他薬局、卸業者との連携を駆使し、薬学・疾患学知識に基づいた判断力をもってして、その時その時のベターな選択肢を提供することが可能です。

最もポイントとなるのは、スタートの「いつまでに手配をし、いつまでに患者の手元に渡る必要があるか。」の見極めです。
この把握には、以下の要素をすべて踏まえた上で、ケース・バイ・ケースで判断する必要があります。

  • 処方薬は定期薬か、初処方か
  • 現在の手持ちはどれくらいあるか
  • 薬局から渡すことが可能な在庫はどれほどあるか
  • 抗ウイルス薬や抗生物質等、緊急度は高いか
  • 代替品の提案を行える内容であるか
  • 患者はどういった剤形を服用可能か
  • 患者の今の体調はどうか
  • 患者の住所はどこか
  • 患者(もしくは家族)は車で自由に移動が可能か
  • 患者のこの後の予定はどうなっているか(買い物、通勤等)
  • 我々薬局スタッフのこの動線予定はどうなっているか(在宅、他店舗移動、銀行入金、帰宅方向等)
  • 出荷調整品目や麻薬・覚せい剤原料等、手配の難易度はいかほどか
  • 卸の急配や午後便に間に合う時間か
  • 卸の担当と電話の通じる時間であるか
  • 近隣薬局やグループ薬局が営業時間中であるか
  • 最寄りの郵便局は何時まで受け付けているか
  • 郵便の種類により、配達予定日時はどのようになるか

出来ない管理薬剤師のフローチャート

出来ない管理薬剤師のフローチャート
つかさ

すみません。少しふざけました。

とはいえ、これに準じるようなことは多々起きているように感じます。

出荷調整が長引く昨今、以下のような事例が発生したとの声も聴くことがあります。

  • 抗インフルエンザ薬が入荷次第郵送予定のまま、入荷されずに1週間経っても放置されていた
  • すぐに飲みたい薬なのに、待合で長時間待ったあげくに投薬時に初めて欠品を知らされた
  • 「うちにこの薬は無いから。」とだけ伝えられ処方箋を返され、たらい回しに遭った
  • 薬剤師にあからさまに面倒くさそうな態度を取られた

ここまで極端な例はそう多くはないと思いますが、出荷調整の嵐に疲れた結果このような対応をしてしまった店舗もあるかもしれませんね。

医薬品の欠品対応の心構え

このような事態を起こさないために、私達は薬剤師として以下のような心構えをする必要があります。

1.欠品が判明した時点で速やかに患者に伝える事
2.他薬局への紹介や、類似薬の変更への提案などの代替案を可能な範囲で行う事
3.誠意ある対応を心掛ける事
4.欠品リスクを抑えるために、在庫管理のシステムの強化を図ること

私たち調剤薬局薬剤師は、医療者としての判断力とホスピタリティを、そして、小売業者としてのサービス精神を同時に併せ持つ必要があります。

もし、結果的に売り上げや患者の治療に貢献ができなくても、患者に寄り添い一緒になって模索した時間は無駄にはなりません。
より良い対応を行えように、患者に寄り添う気持ちと欠品対応の引き出しを多く持っておきたいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

意外と考える余地がたくさんあるように感じた方も多いのではないでしょうか?

医薬品の欠品対応というと、ただ「薬が足りないときにどうするか。」というだけの話に聞こえますが、中身はそれほど単純ではありません。

患者さんにとってより良い対応方法を見つけ出すには、

  • 薬の知識
  • 近隣薬局やクリニックとの連携
  • 郵送の種類や方法・必要時間の把握
  • 患者さんの背景や希望、直近の行動のヒアリング
  • 卸業者との連携

等々、様々な要素を包括的に考慮する必要があります。
そして更に、これらを目の前で待っている患者さんがいる中でスピーディーに行わなければなりません。

同じケースの対応でも、センスによってかなり結果に差が出るのではないでしょうか?

これらのセンスについては訓練次第なので、しっかり普段より本記事の内容を意識をして、欠品対応に臨んでいただければと思います。
基本のフローチャートを土台としつつ、ケース・バイ・ケースに考えられる柔軟さを持つことが出来ると良いでしょう。

つかさ

もちろん、欠品対応の心構えも忘れずにですね!

以上、皆さんの薬剤師ライフの助けになれば幸いです!

また次の記事でお会いしましょう!

執筆者:つかさ

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