早見表(2024年算定要件・薬歴・算定タイミング・レセプト、施設基準)
算定要件の概要(2024年度)
算定要件
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
1 処方箋に基づき処方医に処方内容を照会し、処方内容が変更された場合
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 20点
2 患者へ処方箋を交付する前に処方医と処方内容を相談し、処方に係る提案が反映された処方箋を受け付けた場合
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 20点
区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者その他厚生労働大臣が定める患者に対して、薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して処方箋の処方内容に係る照会又は患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を行った結果、処方に変更が行われた場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局は、算定できない。
区分番号10の2に掲げる調剤管理料の注3に規定する重複投薬・相互作用等防止加算、区分番号10の3に掲げる服薬管理指導料、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤
師包括管理料を算定している患者については、算定しない。
重複投薬・相互作用等防止加算の在宅医療専用バージョンですね。
同様の要件のものに加え、往診同行等で処方箋の交付前に提案を行ったことで処方の変更が行われた場合も評価する報酬です。
今まで後者の場合は、前者と同様の職能を発揮しながらも評価の対象となっていなかったので、救済の意味もある報酬と言って良いでしょう。
実施上の留意事項
(1) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、薬剤服用歴等又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。
基本的には疑義照会もしくは直接確認を行い、変更が行われた場合が前提の調剤報酬となります。
(2) 受け付けた処方箋について処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合には「1」を算定し、処方箋の交付前に処方しようとする医師へ処方に係る提案を行い、当該提案に基づく処方内容の処方箋を受け付けた場合には「2」を算定する。
処方箋受付時では1を、処方箋発行前の往診同行等の際に提案を行ったときは2を算定します。
(3) 「1」のイ及び「2」のイにおける「残薬調整に係るもの以外の場合」とは、次に掲げる内容が該当する。
ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
イ 併用薬、飲食物等との相互作用
ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項
考え方としては重複投薬・相互作用等防止加算と同じで良いかと思います。リンク先の補足や疑義解釈、Q&Aをご参照ください。
また、早見表の「想定される場面」に具体例を記載してあります。
(4) 「残薬調整に係るものの場合」は、残薬に関し、受け付けた処方箋について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合には「1」の「ロ」を算定し、処方箋の交付前に処方医への残薬に関連する処方に係る提案を行い、当該提案が反映された処方箋を受け付けた場合には「2」の「ロ」を算定する。
なお、当該加算を算定する場合においては、残薬が生じる理由を分析するとともに、必要に応じてその理由を処方医に情報提供すること。
情報提供を行った場合、重複投薬・相互作用等防止加算では服薬情報等提供料2が併算定できました。
在宅医療においてはそちらは算定できないことに注意が必要です。
(5) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、受け付けた処方箋に基づき実施した場合は、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴等に記載する。
処方箋に基づいた場合は、通常通り疑義照会の記録を記載しておきましょうということですね。
(6) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を実施した場合は、処方箋の交付前に行った処方医への処方提案の内容(具体的な処方変更の内容、提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容及び理由等)の要点及び実施日時を薬剤服用歴等に記載する。
この場合において、医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有等により対応した場合には、処方提案等の行為を行った日時が記録され、必要に応じてこれらの内容を随時確認できることが望ましい
処方前の場合においては、薬歴への記載のみが根拠となります。
提案内容の詳細・要点からその実施日時について、薬歴にしっかり記載を残す必要があります。
(7) 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。
(8) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。
その他厚生労働大臣が定める患者
(1)在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者
(2)在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者
(3)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
(4)指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
いわゆる在宅訪問を行っている患者が対象ですね。
補足
重複投薬・相互作用等防止加算と同様に、「残薬調整に係るもの以外の場合」の考え方には以下の回答が適用されると考えられます。
- 処方医の単純な記載ミスによるものでは算定できない
- アレルギー歴や副作用歴などの情報から処方が変更となった場合も算定可能
- 薬学的観点から、処方に薬剤が追加、投与期間の延長となった場合も算定可能
(例:特定の抗生物質で下痢が起きやすいとの聞き取り情報から、ビオフェルミンR錠を追加)
同時算定(併算定)、算定回数(算定タイミング)について
他調剤報酬との併算定の可否は以下の通りです。
参照:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日
疑義解釈
なし
保険調剤Q&A(令和6年度版より一部抜粋)
Q192
Q:在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算料は、居宅療養管理指導料または介護予防居宅療養管理指導料と併せて算定することはできますか。
A:算定できます。
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、調剤報酬(医療保険)の項目に設けられている点数で、①在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)、または②居宅療養管理指導費もしくは介護予防居宅療養管理指導費(介護保険)ーを算定している思者に対し、薬歴などに基づき、重複投薬や相互作用の防止などの目的で処方医へ疑義照会を行い。処方変更が行われた場合に算定できます。
介護保険が適用される患者に算定できる調剤報酬(医療保険)については、介護調整告示に基づいて、医療保険と介護保険の給付調整を行います(「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について、令和6年3月27日保医発0327第8号ほか)。
これによると、介護保険が適用される患者の場合には、介護優先のため、「在宅患者訪問薬剤管理指導料」は算定できないものと整理されていますが、「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」は給付調整の対象とはなっていません。また。在宅忠者重複投薬・相互作用等防止管理料は、在宅患者訪問薬剤管理指導料(居宅療養管理指導費,介護予防居宅療養管理指導費を含む)を算定している患者が対象ですが、同点数の加算として設けられているわけではありません。
したがって、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は,居宅療養管理指導費もしくは介護予防居宅療養管理指導費と併せて算定することは可能であることがわかります。
保険利用の在宅患者訪問管理指導料と違い、介護保険を利用する居宅療養管理指導については様々な給付制限があります。
本報酬は介護保険を使う居宅療養管理指導料でもその制限にはあたらずに、問題なく算定できるというQAですね。
原文(2024年算定要件・留意事項)
15の6 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
1 処方箋に基づき処方医に処方内容を照会し、処方内容が変更された場合
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 20点
2 患者へ処方箋を交付する前に処方医と処方内容を相談し、処方に係る提案が反映された処方箋を受け付けた場合
イ 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
ロ 残薬調整に係るものの場合 20点
注1 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者その他厚生労働大臣が定める患者に対して、薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して処方箋の処方内容に係る照会又は患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を行った結果、処方に変更が行われた場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局は、算定できない。
2 区分番号10の2に掲げる調剤管理料の注3に規定する重複投薬・相互作用等防止加算、区分番号10の3に掲げる服薬管理指導料、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については、算定しない。
出典:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 厚生労働省告示第57号 別表第三調剤報酬点数表 厚生労働省 令和6年3月5日
十三 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の注1に規定する患者
(1)在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者
(2)在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者
(3)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
(4)指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準に規定する介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行う場合に限る。)を算定している患者
出典:特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件 厚生労働省告示第59号 厚生労働省 令和6年3月5日
区分15の6 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
(1) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、薬剤服用歴等又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。
(2) 受け付けた処方箋について処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合には「1」を算定し、処方箋の交付前に処方しようとする医師へ処方に係る提案を行い、当該提案に基づく処方内容の処方箋を受け付けた場合には「2」を算定する。
(3) 「1」のイ及び「2」のイにおける「残薬調整に係るもの以外の場合」とは、次に掲げる内容が該当する。
ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
イ 併用薬、飲食物等との相互作用
ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項
(4) 「残薬調整に係るものの場合」は、残薬に関し、受け付けた処方箋について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合には「1」の「ロ」を算定し、処方箋の交付前に処方医への残薬に関連する処方に係る提案を行い、当該提案が反映された処方箋を受け付けた場合には「2」の「ロ」を算定する。なお、当該加算を算定する場合においては、残薬が生じる理由を分析するとともに、必要に応じてその理由を処方医に情報提供すること。
(5) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、受け付けた処方箋に基づき実施した場合は、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴等に記載する。
(6) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、患者へ処方箋を交付する前に処方内容に係る提案を実施した場合は、処方箋の交付前に行った処方医への処方提案の内容(具体的な処方変更の内容、提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容及び理由等)の要点及び実施日時を薬剤服用歴等に記載する。この場合において、医療従事者間のICTを活用した服薬状況等の情報共有等により対応した場合には、処方提案等の行為を行った日時が記録され、必要に応じてこれらの内容を随時確認できることが望ましい
(7) 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。
(8) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できない。
出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 厚生労働省 令和6年3月5日
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